血液がんの治療 3.多発性骨髄腫

  • ボルテゾミブとレナリドミドを含む併用療法が推奨されている。
  • 65歳未満で合併症がなければ自家造血幹細胞移植の適応となる。
  • 新規薬剤が次々と承認され再発・難治では使用できる薬剤の種類が増えた。

多発性骨髄腫は、無症候性の段階では経過観察とし、症状が現れ症候性になった段階で治療を開始します。治療の中心となるのは化学療法と移植です。

(図) 「多発性骨髄腫の経過」

「多発性骨髄腫の経過」

国内のガイドラインでは、ボルテゾミブ、レナリドミドなどを含めた2剤あるいは3剤併用療法が推奨されています。特に、高齢あるいは合併症により移植が適応とならない患者さんに対しては、レナリドミドをキードラッグとした「レナリドミド+低用量デキソメタゾン(Rd)療法」や、ボルテゾミブをキードラッグとした「ボルテゾミブ+メルファラン+プレドニゾロン(VMP)併用療法」が推奨されています。

化学療法の初回治療では、分子標的のボルテゾミブ、免疫調整薬のレナリドミドなどを含む併用療法が行われます。これらの薬が登場することで、それ以前の時代に比べ、多発性骨髄腫の治療成績は大幅に改善してきました。

年齢が65歳未満で合併症がない多発性骨髄腫に対しては、自家造血幹細胞移植※が行われます。末梢血幹細胞を使った移植です。

※自家造血幹細胞移植:患者自身の造血幹細胞をあらかじめ採取・保存し、それを移植に用いて正常な血液を作るようにする治療法

日本赤十字社医療センターの「RVD lite療法変法」では、ボルテゾミブ投与日にレナリドミド服用を行わないスケジュールが組まれています。原法では、全奏効割合が90%で、グレード3以上の有害事象の発現は31%ですが、奏効率を保持したまま、重篤な副作用発現を減少した治療レジメンです。

初回治療の最終投与日から6ヵ月以上経過してからの再発・再燃であれば、初回導入療法に対する感受性を持っている場合も多いため、再度、初回導入療法を試みるか、新規薬剤を含む治療法に変更します。初回治療終了後6ヵ月未満に再発・再燃が起きた場合、治療中に進行・増悪が起きた場合、4番染色体と14番染色体の転座といった高リスク染色体異常を持っている場合には、新規薬剤を含む救援化学療法の選択が推奨されています。

現在、再発・難治性骨髄腫に対して適応がある新規治療薬は、ボルテゾミブ、レナリドミド、サリドマイドに加え、ポマリドミド、パノビノスタット、新規プロテアソーム阻害薬のカルフィルゾミブ、イキサゾミブがあります。日本赤十字社医療センターでは、カルフィルゾミブをレナリドミド、デキソメタゾンと併用する治療を行っています。

(監修:日本赤十字社医療センター骨髄腫・アミロイドーシスセンター長  
鈴木憲史先生)

血液のがん関連ページ

血液のがんに関する主な公開記事

がん治療(標準治療)の基礎知識 治療の流れを理解し、より適切な治療を受けるために 第19回 血液がん

血液がん(白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫)治療の基礎知識について、日本赤十字社医療センター 骨髄・アミロイドーシスセンター長 鈴木憲史先生に解説していただきました。

第52回日本癌治療学会学術集会レポート がん治療の効果を高める「免疫抑制の解除」の最前線

免疫力を高める方法が変わる,世界的に注目を集める話題を取材。最新医薬品開発から患者にやさしい方法まで。

第19回日本補完代替医療学会学術集会レポート 免疫やがん領域に関わるキノコの菌糸体や発酵成分の発表が注目を集める

免疫の状態をよくすることでがんの闘病を支える。補完代替医療の特別講演を取材レポート。