血液がんの治療 1.白血病

  • 急性白血病は化学療法で3~4割が治癒する。
  • 慢性骨髄性白血病はまず分子標的薬で治療を始める。

急性白血病

急性骨髄性白血病の治療は、抗がん剤を組み合わせた強力な化学療法です。代表的なのは、イダルビシンとシタラビンの併用療法です。寛解導入療法※で寛解※が得られた場合は、再発を防ぐために地固め療法を行います。この治療によって、3~4割は治癒します。

※寛解導入療法:大量の抗がん剤を組み合わせて使用し、骨髄中の白血病細胞数を全白血球数の5%未満に減らし、寛解を目指す治療法
※寛解:症状が一時的に軽くなったり,消えたりした状態

若い人で特に予後不良のタイプと判断された場合には、移植を考えることになります。行われるのは、血縁者や骨髄バンクのドナーから提供を受ける同種造血幹細胞移植※です。

※造血幹細胞移植:健康な造血幹細胞を移植して正常な血液を作るようにする治療法

急性リンパ性白血病の中には、フィラデルフィア染色体※陽性のタイプがあります。この場合には、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブといった分子標的薬が治療に使われます。優れた治療効果を発揮します。

※フィラデルフィア染色体:9番染色体と22番染色体の一部が結合してできた、白血病細胞の異常増殖を促してしまう異常な染色体

慢性白血病

日本における慢性白血病は大部分が慢性骨髄性白血病で、慢性リンパ性白血病は白血病全体の数%しかいません。慢性骨髄性白血病は、大部分がフィラデルフィア染色体※陽性なので、まず分子標的薬による治療が行われます。イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブが使われ、それが効かなくなった場合にはボスチニブも使えます。これらの分子標的薬は非常に効果的です。現在は4種類の分子標的薬が使えるので、副作用が出た場合や、効果が不十分な場合には、薬を変えていくことができます。薬による治療で十分な効果が得られない場合には、同種造血幹細胞移植※を検討します。

※フィラデルフィア染色体:9番染色体と22番染色体の一部が結合してできた、白血病細胞の異常増殖を促してしまう異常な染色体
※造血幹細胞移植:健康な造血幹細胞を移植して正常な血液を作るようにする治療法

慢性リンパ性白血病は、ゆっくりと進行することが多く、初期にはほとんど症状が現れません。その場合は特に治療せず経過を観察します。Ⅲ期以上で症状が現れてきたら化学療法が行われます。使われる抗がん剤はフルダラビンなどです。それが効かなくなった場合には、オファツムマブやアレムツズマブなどの分子標的薬が使用できます。

(図) 「慢性骨髄性白血病(CML)診療ガイドライン」

「慢性骨髄性白血病(CML)診療ガイドライン」

慢性骨髄性白血病 (CML) 診療ガイドライン
日本血液学会の診療ガイドライン(http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_4.html
   
TKI; チロシンキナーゼ阻害剤
CML:慢性骨髄性白血病
QD:1日に1回投与
BID:1日に2回投与(300mg BID は、1回300mg を1日に2回服用する意味である)
Optimal:効果あり
Waming:効果減少
Failure:効果なし

(図) 「慢性リンパ性白血病(CLL)診療ガイドライン」

「慢性リンパ性白血病(CLL)診療ガイドライン」

慢性リンパ性白血病 (CLL) 診療ガイドライン
日本日本血液学会の診療ガイドライン(http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_5.html
   
FC療法:フルダラビン+ シクロホスファミド療法
F 療法:フルダラビン療法
BSC: best supportive care( がんに対する抗がん剤などの積極的な治療は 行わず、症状などを和らげる治療に徹すること)

(監修:日本赤十字社医療センター骨髄腫・アミロイドーシスセンター長  
鈴木憲史先生)

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