乳がんの治療

  • 遠隔転移(他の臓器への転移)がない場合は治癒を目指した治療、遠隔転移がある場合は悪化させないことを目指した治療が行われる。
  • その上で、具体的にどのような治療をするかは、「患者さんが今後どう生きたいかの治療方針」を考慮して選ぶ。
  • 乳がんは治療法が多く、新薬の開発スピードも非常に速いので、生存期間を引き延ばしてご自身に合う治療が出るのを待つ努力には、大きな意味がある。

治療法を決めるためには、その前に治療方針を考える必要があります。「がんの状態から選択可能な医学上の治療(方針)」はある程度決まっていますが、「患者さんが今後どう生きたいかの治療方針」は、患者さん次第です。

治療の多くは後戻りできません。多くのがんは数週間の違いで大きく結果は変わらないので、闇雲に治療を急ぐよりも、しっかり病状を把握して、情報を集め、よく考えて治療方針を決めることが大事です。

医師と相談しながら、適した治療法を選び出し、それぞれの治療法の効果とリスクをしっかり理解して、最も納得の行く治療法を決めてください。

乳がんの治療は、その目的によって、次のように大きく2つに分けられます。

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A.遠隔転移がない場合の治療

1つは遠隔転移(他の臓器への転移)がない患者さんの治療です。この場合には、がんを完全に治すことを目的に、根治的な治療が行われます。乳がんの治癒を目指すためには、基本的には手術が必要になります。また、手術後の再発を防ぐ目的で、薬物治療や放射線治療が加えられる場合もあります。

B.遠隔転移がある場合の治療

もう1つは、遠隔転移がある患者さんの治療です。この場合には、治癒を目指すのではなく、悪化させないことを目指した治療が行われます。手術後に再発して遠隔転移した場合も、このような治療になります。

薬物治療が中心ですが、できるだけQOL(生活の質)を低下させないようにし、副作用の軽い治療から行うようにします。

乳がんは、遠隔転移がある場合でも、適切な治療をすることで生存期間が数年~数十年単位で延び得るので、延命の意義が高いがん種です。治療法も多く、新薬の開発も非常に速くて次々出ています。今完治できなくても、効く薬がすぐに出るかもしれないので、生存期間を引き延ばす努力には、大きな意味があります。

もし進行した状態であってもあきらめないで、医師と充分なコミュニケーションを取りながら、がんに立ち向かってください。

(監修:医療法人湘和会 湘南記念病院 かまくら乳がんセンター長 土井卓子先生)

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