遠隔転移がある乳がんの治療

  • がんの縮小ではなく、悪化させないことを治療の目標とする。
  • できるだけ長く治療を続けられるように、QOL(生活の質)をよい状態に保つことを目指して、薬剤を選ぶ。

治すことではなく、悪化させないことを目指すために、基本的に薬物療法を行います。サブタイプや現在の病状などから、使用する薬剤を選びます。

サブタイプ 薬物療法の内容
ホルモン受容体陽性
(ルミナールA/B)
・ホルモン療法が基本。使っている薬剤が効かなくなったら、別のホルモン治療薬に変え、ホルモン療法を続ける。ホルモン療法は副作用が軽いため、治療を行いながら普通の日常生活を送ることができる。
・ホルモン療法を使い切った場合や、病状が悪化して生命の危険があるような場合には、抗がん剤治療に移る。
HER2タイプ ハーセプチンと化学療法が基本。それで効かなくなったら、次に、ペルツズマブ(パージェタ)、ハーセプチン、ドセタキセル。その次に効かなくなったら、化学療法を変えるか、カドサイラに行く。
トリプルネガティブ 抗がん剤による治療が基本。なるべくQOLを低下させないことを考える必要がある。ある抗がん剤を使用していて、効果がなくなれば、抗がん剤を変えて治療を続ける。

隔転移がある場合は、強い薬を使っても、がんは小さくなりにくかったり、つらい副作用で薬をやめたら元に戻ったりします。できるだけQOL(生活の質)をよい状態に保ちながら長く生きられるように、副作用の軽い薬剤から使用するようにします。

どの薬剤を使用するにしても、できるだけ長く治療を継続できるようにするのが、大切です。

先程の説明でも書きましたが、乳がんは治療法も多く、新薬の開発も非常に速くて次々出ています。今完治できなくても、効く薬がすぐに出るかもしれないので、生存期間を引き延ばす努力には、大きな意味があります。新しい治療法で適切な治療ができれば、生存期間が数年~数十年単位で延びる可能性もあります。遠隔転移があってもあきらめないで、医師と充分なコミュニケーションを取りながら、がんに立ち向かってください。

(監修:医療法人湘和会 湘南記念病院 かまくら乳がんセンター長 土井卓子先生)

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