乳がん治療で使われる薬剤

  • 乳がん治療に使われる薬には、ホルモン治療薬、分子標的薬、抗がん剤がある。
  • 多くの薬剤の中から、患者さんに適した薬が選択される。

乳がんの治療で使用される薬剤は、「ホルモン治療薬」「分子標的薬」「抗がん剤」が主なものです。この他に、骨転移に対する治療薬、副作用を抑えるための薬などが、必要に応じて使われます。

ホルモン治療薬

女性特有のがんに働き、がん細胞の増殖を防ぎます。ホルモン量を変化させるため、副作用として更年期のような症状が出る場合があります。

働きによって分類すると、エストロゲンが乳がん細胞に作用するのを防ぐ「抗エストロゲン薬」、エストロゲンの分泌を抑える「LH-RHアゴニスト」、アンドロゲンをエストロゲンに変える酵素の働きを阻害する「アロマターゼ阻害薬」などがあります。

主なホルモン治療薬には、次のものがあります。

薬剤名(一般名) 主な商品名 適応 投与法
リュープロリン リュープリンなど 閉経前 皮下
ゴセレリン ゾラデックスなど 閉経前 皮下
タモキシフェン ノルバテックスなど 閉経前後 経口
メドロキシプロゲステロン ヒスロンHなど 閉経前後 経口
トレミフェン フェアストンなど 閉経後 経口
アナストロゾール アリミデックスなど 閉経後 経口
エキセメスタン アロマシンなど 閉経後 経口
レトロゾール フェマーラなど 閉経 経口

分子標的薬

分子標的薬は、がん細胞特有の分子を標的にするので、他の細胞を傷つけるリスクが低く、副作用が比較的少ないのが特徴です。

HER2陽性の人に効果的で、抗HER2薬はいずれも分子標的薬です。

主な分子標的薬には、次のものがあります。

【分子標的治療薬+抗がん剤の併用治療方法】

*身長160cm体重50kgの方で3割負担とした場合の概算です(2015年1月時点)。化学療法加算費や診察料等は含みません。薬剤の価格は、ジェネリック薬の使用や薬価の変更等により変化するので、予めご了承ください。

【分子標的治療薬】

治療法 一般名 主な商品名 適応 投与方法 概算費用
ペルツズマブ・トラスツズマブ・ドセタキセル併用 ペルツズマブ パージェタ HER2陽性の手術不能又は再発乳癌 個別の薬剤の投与方法による 初回約21.8万円,2回目以降約13.2万円
トラスツズマブ ハーセプチン
ドセタキセル タキソテール
ペルツズマブ・トラスツズマブ併用 ペルツズマブ パージェタ HER2陽性の手術不能又は再発乳癌 個別の薬剤の投与方法による 初回約19.5万円,2回目以降約10.9万円
トラスツズマブ ハーセプチン
パクリタキセル・ベバシズマブ併用 パクリタキセル タキソール 手術不能又は再発乳癌 個別の薬剤の投与方法による 1回約8.2万円

*身長160cm体重50kgの方で3割負担とした場合の概算です(2015年1月時点)。化学療法加算費や診察料等は含みません。薬剤の価格は、ジェネリック薬の使用や薬価の変更等により変化するので、予めご了承ください。

抗がん剤

細胞に対して毒性を発揮する薬です。多くの薬剤を使うことができます。

乳がん治療に使える主な抗がん剤には、次のものがあります。

【複数薬の併用治療方法】

治療法 一般名 適応 投与方法 概算費用
トラスツズマブ ハーセプチン HER2過剰発現が確認された乳癌癌 点滴
ペルツズマブ パージェタ HER2陽性の手術不能又は再発乳癌 点滴
ベバシズマブ アバスチン 手術不能、再発乳がん 点滴
ラパチニブ タイケルブ 手術不能または再発乳癌 経口
エベロリムス アフィニトール 手術不能または再発乳癌癌 経口
T-DM1 カドサイラ HER2陽性の手術不能又は再発乳癌 点滴 1回約14.4万円
治療法 一般名 主な商品名 投与方法 概算費用
FEC療法 エピルビシン ファルモルビシンなど 3週間を1コースとして4コース実施 1コースあたり約3.2万円
シクロフォスファミド エンドキサンなど
フルオロウラシル 5-FUなど
TC療法 ドセタキセル タキソテールなど 3週間を1コースとして4コース実施 1コースあたり約2.8万円
シクロフォスファミド エンドキサンなど
CMF療法 シクロフォスファミド エンドキサンなど 4週間を1コースとして6コース実施 1コースあたり約0.7万円
メソトレキサート メソトレキセートなど
フルオロウラシル 5-FUなど
EC療法 エピルビシン ファルモルビシンなど 3週間を1コースとして4コース実施
シクロフォスファミド エンドキサンなど
AC療法 ドキソルビシン アドリアシンなど 3週間を1コースとして4コース実施
シクロフォスファミド エンドキサンなど
CAF療法 シクロフォスファミド エンドキサンなど 3週間を1コースとして6コース実施
ドキソルビシン アドリアシンなど
フルオロウラシル 5-FUなど
CEF療法 シクロフォスファミド エンドキサンなど 4週間を1コースとして6コース実施
エピルビシン ファルモルビシンなど
フルオロウラシル 5-FUなど

*身長160cm体重50kgの方で3割負担とした場合の概算です(2015年1月時点)。化学療法加算費や診察料等は含みません。薬剤の価格は、ジェネリック薬の使用や薬価の変更等により変化するので、予めご了承ください。

【主な抗がん剤】

薬剤名(一般名) 主な商品名 投与法 概算費用
テガフール・ウラシル ユーエフティなど 経口
カペシタビン ゼローダなど 経口
テガフール・ギメラシル・オテラシル ティーエスワンなど 経口
ゲムシタビン ジェムザールなど 点滴 1回約1.4万円
メトトレキサート メソトレキセートなど 経口
ビノレルビン ナベルビン、ロゼウスなど 点滴 1回約0.9万円
ドセタキセル タキソテールなど 点滴 1回約2.6万円
パクリタキセル タキソール、パクリタキセルなど 点滴 1回約1.4万円(ジェネリックの場合)
ナブパクリタキセル アブラキサンなど 点滴 1回約7.3万円
カルボプラチン パラプラチンなど 点滴
イリノテカン カンプト、トポテシンなど 点滴
エリブリン ハラヴェンなど 点滴

*身長160cm体重50kgの方で3割負担とした場合の概算です(2015年1月時点)。化学療法加算費や診察料等は含みません。薬剤の価格は、ジェネリック薬の使用や薬価の変更等により変化するので、予めご了承ください。

骨転移に対する治療では、「ビスフォスフォネート製剤」や、分子標的薬のデノスマブが使われています。

(監修:医療法人湘和会 湘南記念病院 かまくら乳がんセンター長 土井卓子先生)

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