乳がん治療の副作用

  • 副作用は、予防可能なものや、適切に治療することで改善可能なものがある。
  • 開発技術が急速に進歩しているため、今治療できない副作用でも、じきに治療可能になる可能性が高い。
  • 副作用についてよく理解し、どうしても嫌なことは避けて、できるだけ長く治療を継続して効果を上げられるようにすることが大切。

乳がんの治療を受けることによって、副作用として、好ましくない症状が現れることがあります。ただし、これらの症状の多くは、適切に治療することで改善可能です。昔は強い副作用があっても対処できなかったものでも、今は対処できるものがたくさんあります。

副作用の不安を軽減するには、自分が受ける治療の副作用をよく理解することが大切です(いつ頃・どのように出て・どの位続いて・どう対処したらよいかなど)。そして、自分にとって「絶対に嫌なこと」が何かを自覚してそれだけは避ける選択をしましょう。確実に治療を継続して効果を上げるためには、つらいことを少しでも減らすことが重要です。医師や看護師に、判らないことは質問したり、不安な気持ちを素直に伝えるとよいでしょう。

副作用は人によっても差があるものなので、自分の体の変化をきちんと把握して、何かあれば医師に相談してください。

1.手術の後遺症

手術時にリンパ節を切除する「腋下郭清」(えきかかくせい)を行うと、リンパ浮腫(腕からのリンパ液の流れが滞ることによる腕の浮腫)が起こることがあります。現在は6%の人にしかリンパ浮腫が起きませんし、適切な治療を受けることでよくなります。
また、浮腫を予防したり、悪化するのを防いだりするために、スキンケアやセルフマッサージが勧められています。

腋下リンパ節に転移が起き、それによって腕に浮腫が起きた場合には、重症化することがありますし、通常のリンパ浮腫に対する治療ではよくなりません。

2.薬の副作用

抗がん剤、ホルモン治療薬、分子標的薬を使用すると、それぞれ特徴的な副作用が現れてきます。

(1)抗がん剤による副作用

抗がん剤の種類により、吐き気・嘔吐、下痢、口内炎、倦怠感、白血球減少、貧血、血小板減少、肝障害、腎障害、末梢神経障害、脱毛など、さまざまな副作用があります。それぞれに適切な対処法や治療法があります。抗がん剤の投与で免疫が低下するため、感染などに注意することも重要です。

吐き気や嘔吐に対しては、制吐薬が使われます。制吐薬が進歩したため、実際に嘔吐してしまうようなことはほとんどなくなっています。

深刻な白血球減少に対しては、G-CSF製剤が使われることがあります。

(2)ホルモン治療薬による副作用

抗エストロゲン薬では、重い副作用はほとんどなく、QOLを低下させずに治療を受けることができます。ただし、長期にわたって治療した場合には、子宮体部の増殖や、子宮体がんが起きるリスクがあります。

LH-RHアゴニストを使うと、閉経前の人が閉経状態になるため、ホットフラッシュなど、更年期障害のような症状が現れます。

アロマターゼ阻害薬では、骨密度が減少したり、関節が痛んだりすることがあります。骨を守るビスフォスフォネート製剤やデノスマブなどによる治療が行われることもあります。

(3)分子標的薬による副作用

トラスツズマブでは、発熱、悪寒、全身倦怠感、心不全などの副作用が現れることがあります。

ラパチニブでは、下痢、悪心、食欲不振、疲労感などの副作用が現れることがあります。

3.放射線の副作用

乳房温存術後の放射線療法では、副作用として皮膚炎が起こることがありますが、重篤なものではありません。適切なスキンケアで改善します。全身的な副作用はほとんどありません。

乳房切除術でも、局所再発の危険性が高い場合には、放射線療法が行われます。この場合は、胸壁に加えて周囲のリンパ節にも照射するため、照射される線量が多く、副作用もやや増加します。

(監修:医療法人湘和会 湘南記念病院 かまくら乳がんセンター長 土井卓子先生)

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