食道がんの治療法2――手術

  • がんの近くだけでなく広範囲のリンパ節郭清(かくせい)が必要。
  • 切除した食道の代わりに胃で食道を再建する。
  • 3つの再建方法の中で食べた物が最も通りやすいのは後縦隔経路(こうじゅうかくけいろ)。

食道を切除し、リンパ節を切除するリンパ節郭清*が行われます。
食道がんのリンパ節転移は、がんの近くに起きるとは限りません。離れたリンパ節に転移する可能性もあるため、広い範囲のリンパ節郭清が必要になります。たとえば胸部食道がんの場合、胸部だけでなく、頸部や腹部のリンパ節も切除する3領域リンパ節郭清が行われます。

さらに取り除いた食道の代わりに、食べ物が通る管を再建する必要があります。再建には基本的に胃が使われます。胃を管状にして頸部まで釣り上げるのです。胃を利用できない場合には、大腸や小腸が使われます。

*リンパ節郭清:リンパ節を切除すること

(図)食道の再建

【食道がん】食道の再建:胃を管状にして頸部まで釣り上げる

再建には3つの方法があります。胸壁の前を通す胸壁前経路(きょうへきぜんけいろ)、本来の食道の位置に通す後縦隔経路、その中間型である胸骨後経路(きょうこつこうけいろ)です。

かつては胸壁前経路がよく行われていました。縫合不全が起きた場合でも対処しやすいためですが、食べ物が通りにくいという欠点があります。食べた物が通りやすいのは後縦隔経路です。ただし、縫合不全が起きた場合には重症化するリスクがあります。そういったことから、従来は中間型の胸骨後経路が多くなっていました。ところが、最近は機械で縫合を行うようになり、縫合不全の危険が低下したこともあって、後縦隔経路での再建が増えてきています。ただ、術後に持ち上げた胃に胃がんができたときには、胃を切除するのが困難になります。

食道がんの手術は、頸部・胸部・腹部を開いて行う手術の他に、胸腔鏡(きょうくうきょう)などで見ながら行う鏡視下手術があります。鏡視下手術は傷が小さくてすみますが、食道を摘出したり、広範囲のリンパ節郭清を行ったりするのは、通常の手術と同じです。鏡視下手術であっても大がかりな手術となります。

(図) 「食道の再建経路」

【食道がん】「食道の再建経路」:胸壁前経路、胸骨後経路、胸縦隔経路

(監修:順天堂大学医学部附属順天堂医院          
がん治療センターセンター長・特任教授 鶴丸 昌彦先生)

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