鼻腔・副鼻腔がんの治療

  • 上顎洞がんは、放射線療法を中心に手術、化学療法の併用が多い。
  • 晩期毒性を軽減するためIMRTなど線量集中性の高い治療や、先進医療の粒子線治療も有効な治療・放射線治療の前に導入化学療法が行われることもある。

鼻腔・副鼻腔がんの中で最も多い上顎洞がんの放射線療法は、60~70Gyを、30~35回(週5回で6~7週)かけて照射するのが一般的です。多くは手術、化学療法と併用されます。十分ながんの減量が可能な症例では、放射線療法の併用によって、良好な局所制御が期待できます。晩期毒性※を軽減するため、線量集中性の高い照射法であるIMRT(強度変調放射線治療)なども行われます。

※晩期毒性:時間が経過して起こる副作用

根治切除が困難な鼻腔・副鼻腔がんに対しては、IMRTなどと並んで、先進医療として行われている粒子線治療(陽子線治療や重粒子線治療)も治療の選択肢となります。特にX線による放射線療法では根治可能な線量を照射できない場合でも、粒子線治療は有効な治療の選択肢です。

化学療法も行われます。根治的な放射線治療の前に化学療法を行う「導入化学療法」が行われることがあります。導入化学療法でがんを小さくすることができると、放射線治療の際に、正常組織にかかる放射線量を減らすことができます。これが導入化学療法を行う目的です。導入化学療法でどれだけがんが小さくなるかは、かなり個人差があります。

化学療法では、シスプラチン、タキサン系抗がん薬、5FUが併用されます。さらに、分子標的薬のセツキシマブが使われることもあります。

(図) 「鼻腔・副鼻腔がん(上顎洞がん)の治療アルゴリズム」

「鼻腔・副鼻腔がん(上顎洞がん)の治療アルゴリズム」

(表)「鼻腔・副鼻腔がん(上顎洞がん)の病期」

①「T分類(がんの大きさ、浸潤の状態など)」

TX 原発腫瘍の評価が不可能
T0 原発腫瘍を認めない
TiS 上皮内がん
T1 上顎洞粘膜に限局する腫瘍、骨吸収または骨破壊を認めない
T2 骨呼吸または骨破壊のある腫瘍、硬口蓋および/または中鼻道に進展する腫瘍を含むが、上顎洞後壁および翼状突起に進展する腫瘍を除く
T3 上顎洞後壁の骨、皮下組織、眼窩底または眼窩内側壁、翼突窩、篩骨洞のいずれかに浸潤する腫瘍
T4a 眼窩内容前部、頬部皮膚、翼状突起、側頭下窩、篩板、蝶形洞、前頭洞のいずれかに浸潤する腫瘍
T4b 眼窩尖端、硬膜、脳、中頭蓋窩、三叉神経第二枝以外の脳神経、上咽頭、斜台のいずれかに浸潤する腫瘍

②「N分類(リンパ節への転移の状態)

NX 所属リンパ節転移の評価が不可能
N0 所属リンパ節転移なし
N1 同側の単発性リンパ節転移で最大径が3㎝以下
N2a 同側の単発性リンパ節転移で最大径が3㎝をこえるが6㎝以下
N2b 同側の単発性リンパ節転移で最大径が6㎝以下
N2c 両側あるいは対側のリンパ節転移で最大径が6㎝以下
N3 最大径が6㎝をこえるリンパ節転移

注:正中リンパ節は同側リンパ節である。

③「M分類(遠隔転移の状態)

M0 遠隔転移なし
M1 遠隔転移あり

④「病気分類」

N0 N1 N2a,N2b,N2c N3
Tis 0
T1 ⅣA ⅣB
T2 ⅣA ⅣB
T3 ⅣA ⅣB
T4a ⅣA ⅣA ⅣA ⅣB
T4b ⅣB ⅣB ⅣB ⅣB
M1 ⅣC ⅣC ⅣC ⅣC

「頭頸部癌診療ガイドライン」2013年版、日本頭頸部癌学会編(金原出版)を参考に編集部にて作成。

(監修:国立研究開発法人 国立がん研究センター東病院頭頸部内科長 田原 信先生)

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