皮膚がんの治療方針

  • 基本となるのは手術で、がんの辺縁(へんえん)から距離を開けて切除が行われる。
  • 悪性黒色腫で遠隔転移がある場合、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が使われる。

皮膚がんの治療で中心となるのは手術です。がんを取り残さないようにするため、がんの辺縁※から距離をとって切除が行われます。がんのできている部位によっては、指など体の一部を切断する必要が生じる場合もあります。また、顔などにできている場合には、整容性や機能性も考慮した治療が必要になります。手術以外に、放射線療法や化学療法が行われることもあります。

※辺縁:その周りにある部分。

悪性黒色腫(メラノーマ)

遠隔転移がなければ手術が行われます。リンパ節転移が見つかっている場合には、原発巣に加えてリンパ節の切除も行われます。センチネルリンパ節生検※の結果、手術後にリンパ節転移があると判明した場合には、リンパ節を切除するための手術が改めて行われます。手術後に、再発予防のための補助化学療法が行われることがあります。

※センチネルリンパ節:がんが原発巣から最初に辿り着くリンパ節のこと

遠隔転移がある場合には、分子標的薬による治療や、免疫チェックポイント阻害薬による治療が行われます。

(図)悪性黒色腫の診療アルゴリズム

悪性黒色腫の診療アルゴリズム

* Tis:melanoma in situ(上皮内黒色腫)病変
T1a:Tumor thickness 1mm以下、潰瘍なし、レベルⅢ以下、のすべての条件を満たす原発巣
** T1b以上:Tumor thickness 1mm超、あるいは潰瘍あり、あるいはレベルⅣ以上の原発巣
*** 原発巣に対しても必要に応じて適切な処置を施行する。
# 理学的所見ならびに画像検査による評価

公益社団法人日本皮膚科学会 「皮膚悪性腫瘍ガイドライン」を参考に編集部にて作図

有棘(ゆうきょく)細胞がん

基本的に手術が行われます。画像検査などでリンパ節転移が明らかな場合は、リンパ節の切除が行われます。手術後に、再発予防のために化学療法や放射線療法が行われることがあります。転移がある場合にも化学療法や放射線療法が行われることがあります。

(図)有棘細胞がんの診療アルゴリズム

有棘細胞がんの診療アルゴリズム

* リンパ節郭清:がんの周辺にあるリンパ節を切除すること

日本皮膚悪性腫瘍学会編「科学的根拠に基づく皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン 第1版」(金原出版)を参考に編集部にて作図

基底細胞がん

治療は手術が基本です。多くは転移しないので、原発巣をしっかり切除できれば治療は終了になります。取り切れなかった場合には放射線療法が行われます。

(図)基底細胞がんの診療アルゴリズム

基底細胞がんの診療アルゴリズム

日本皮膚悪性腫瘍学会編「科学的根拠に基づく皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン 第1版」(金原出版)を参考に編集部にて作図

乳房外(にゅうぼうがい)パジェット病

治療は手術が基本です。再発防止のためにリンパ節の切除を行うことはありません。リンパ節に転移が認められる場合だけ、リンパ節の切除が行われます。手術できない場合や遠隔転移がある場合には、放射線療法が行われます。

(図)乳房外パジェット病の診療アルゴリズム

乳房外パジェット病の診療アルゴリズム

公益社団法人日本皮膚科学会 「皮膚悪性腫瘍ガイドライン」を参考に編集部にて作図

(監修:木沢記念病院皮膚科          
皮膚がんセンター部長 神谷秀喜 先生)

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