皮膚がんの検査と診断

  • 悪性黒色腫や基底細胞がんの診断にはダーモスコピー検査が大切。
  • 確定診断のために生検が必要になる場合がある。
  • 悪性黒色腫ではセンチネルリンパ節生検が行われることがある。

悪性黒色腫(メラノーマ)

悪性黒色腫が疑われる場合に、まず行われる検査はダーモスコピー検査です。皮膚に超音波検査のときに用いるゼリーを塗り、特殊な皮膚用の拡大鏡を押し付けるようにして患部を観察します。10倍くらいに拡大できるのに加え、表皮の中の構造まである程度見ることができます。メラニンも見えますし、血管があればその状態までわかります。それによって、悪性黒色腫かどうかをほぼ判定することができます。

ダーモスコピー検査ではっきりしない場合には、生検が行われます。組織の一部を採取し、それを顕微鏡で調べる病理検査を行うのです。局所の麻酔をした後、パンチバイオプシーという患部を小さくくり抜く機械を使用し、組織を採取します。直径4㎜程度あれば十分に調べることができます。悪性黒色腫は生検のために腫瘍に切り込むと、転移を誘発すると言われてきました。しかし現在では、生検を行って悪性黒色腫と診断がついた場合でも、1ヵ月以内に手術をすれば問題ないことが明らかになっています。悪性黒色腫である可能性が高い場合には、手術の予定を組んでおいてから生検を行います。生検をしてはいけないケースはほぼありません。

がんと診断がついた場合は、進行の程度を調べる必要があります。それを知るために、がんの厚さを調べます。生検を行うときに、できるだけ深くまで達していそうな部分を採取します。しかし、全体を調べないとわからないこともよくあります。

転移している可能性がある場合には、CT検査、PET検査を行い、転移があるかどうかを調べます。リンパ節や離れた臓器に転移巣が見つかることがあります。ただし、これらの画像検査で転移巣が見つからなくても、微小ながんが転移している可能性はあります。

それを見逃さないために、センチネルリンパ節生検が行われます。がんが原発巣からリンパ流に乗って出ていくとき、最初にたどり着くリンパ節をセンチネルリンパ節といいます。手術時にこのリンパ節を探し出して採取し、病理検査を行います。ここに転移がなければ、転移の可能性は低いと判断できるのです。センチネルリンパ節を特定するため、手術前日に放射性同位元素を原発巣周囲に注入し、手術時には色素を注入します。これらがどこに流れていくかを調べることで、センチネルリンパ節を特定するのです。採取したリンパ節の病理検査に数日を要するため、検査結果は手術後に明らかになります。

有棘(ゆうきょく)細胞がん

有棘細胞がんは潰瘍化※したり、表面が崩れたりしている場合は、ダーモスコピー検査は行いません。肉眼で観察し、すぐに生検が行われます。それによって診断を確定します。リンパ節転移や遠隔転移を調べるために、CT検査やMRIなどの画像検査を行うことがあります。

※潰瘍化:皮膚表面が炎症を起こしてできた傷が深くえぐれたような状態

基底細胞がん

基底細胞がんの検査で重要なのは、ダーモスコピー検査です。表皮内のメラニンの状態を見ることができ、悪性黒色腫との鑑別が可能です。ダーモスコピー検査で基底細胞がんと診断がつけば、生検を行わずにすみます。ダーモスコピー検査ではっきりしない場合のみ、生検を行います。ダーモスコピー検査が行われるようになる前は、基底細胞がんの全例で生検が行われていましたが、現在は生検を行うほうが少なくなっているほどです。

乳房外(にゅうぼうがい)パジェット病

乳房外パジェット病では、ダーモスコピー検査を行っても、あまりよくわかりません。乳房外パジェット病であると診断するためには、生検が行われます。

(表) 「皮膚がんの主な検査」

検査の目的 検査名 検査のやり方 検査でわかること
がんの診断を下す ダーモスコピー検査 皮膚にゼリーを塗り、特殊な皮膚用拡大鏡を押し付けるようにして、皮膚の様子を観察する。 悪性黒色腫や基底細胞がんでは、がんであるかどうかの診断に役立つ。
生検 患部の組織を採取し、それを顕微鏡で観察する。 がんであるかどうか、どの種類の皮膚がんであるかがわかる。
がんの広がりを調べる CT(コンピュータ断層撮影)検査 X線を利用して体内を断層画像として描き出す。 転移や浸潤の有無や程度がわかる。
MRI(磁気共鳴画像)検査 磁気を利用して体内を断層画像として描き出す。 転移や浸潤の有無や程度がわかる。
センチネルリンパ節生検 手術前日に放射性同位元素を、当日に色素を、原発巣周囲に注入し、それが最初に流れていくリンパ節(センチネルリンパ節)に、転移が起きているかどうかを調べる。 センチネルリンパ節に転移がなければ、転移の可能性が低いと判定できる。悪性黒色腫に対して行われることがある。

(監修:木沢記念病院皮膚科          
皮膚がんセンター部長 神谷秀喜 先生)

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