イラストで理解できるがんと免疫

転移・再発に関するQ&A

このQ&Aはがんと先進医療が独自にまとめたものであり、医師または医療関係者によるアドバイスに代わるものではありません。

転移・再発の状況

1.どうして転移するのか?

がん細胞は正常細胞にはない主に2つの性質を持っています。一つは、異常に増殖できる性質です。もう一つは、組織の間を浸潤して、移動できる性質です。
がん細胞が異常に増殖してがんの組織が大きくなっていくのも勿論怖いですが、実は、組織の間を浸潤して移動できる性質の方がもっと怖いのです。
なぜなら、がん細胞が移動できないなら、手術で取りきることができますが、移動してしまうと手術で完全に取りきることが難しくなるからです。

2.自分のがんは転移しているのか?

がんが転移しているかどうかは、画像診断で転移した癌が見える程度まで大きくならないと確かなことは判りません。しかし、がんの種類やステージによって、転移・再発のし易さが、ある程度わかっており、画像診断で転移がわからなくても、手術後に抗がん剤や放射線治療を実施する場合があります。

3.自分のがんはどこに転移しやすいのか?

がんの種類によって異なります。
例えば、大腸癌では肝臓に転移することが多いですし、乳がんでは骨への転移が多いとされています。

4.自分のがんの再発の起こりやすさは?

がんの種類やステージによって異なります。再発が多い癌の場合は、手術などで癌を取りきった後も、再発を予防するためにしばらく抗がん剤・放射線療法を行うことが通常です。

5.いつから安心していいの?

手術などの治療で残った微小な癌細胞は、5年目までには画像診断で見える程度まで大きく増殖します。そのため、一般的には5年目の時点で、画像診断で癌が見えなければ、再発はないと判断されることが多いです。ただし、がんの種類によって異なりますので(乳がんなどは5年目以降も再発する可能性があるとされています)、主治医に相談されるのが良いでしょう。

6.なぜ、手術した後に、抗がん剤やホルモン療法などによる補助療法を行うの?

手術をして画像診断上は癌細胞を取りきったとしても、体の中には微小な癌細胞が残っていることがあります。抗がん剤やホルモン療法などによる補助療法はこれらの残った癌細胞を完全に取り除くことを目的に実施されます。

7.具体的に、再発予防のために、どのくらいの期間、病院での治療を続けるのか?

がんの種類やステージ、それまでの治療経過によって異なります。例えば、大腸癌の術後補助化学療法では6-12ヶ月、乳がんの術後ホルモン療法では5年以上実施する場合があります。また、癌の種類やステージによっては、手術後に特に再発予防の治療を行わないこともあります。

転移・再発の予防法

8.転移や再発の予防で、信頼できる相談先は?

主治医以外では特に決まった相談場所がないのが現状です。

9.転移・再発を予防するために自分でできることは?

まず決まった標準治療を受けることが大切です。その上で、がんのリスクを下げる食事・運動・生活習慣などを取り入れることができます。

10.転移・再発予防で食べた方が良い食品は?

がん患者さんに向けたがんの転移・再発の予防方法について公的機関からの指針はまだありません。ただし、健康な方が、がんのリスクを下げる食事・運動・生活習慣は、厚生労働省、国立がん研究センター、WHO(世界保健機構)、などが発表しています。詳しくはこちら>>

11.サプリメントや健康食品で転移・再発予防ができるのか?

サプリメントや健康食品で転移や再発予防ができると医学的に証明されたものはありません。

ただし、転移・再発予防と関わる免疫力や体調の改善作用などの報告が一部の成分でされています。

12.免疫力を低下させる抗がん剤などの補助治療はしない方がいいの?

病院で標準治療として実施される抗がん剤の補助療法は、再発予防効果が医学的に証明されており、患者さんにメリットがあると判断されているものですので、主治医とよくご相談されるのが良いです。免疫力については抗がん剤とは別に食事などでケアすることもできます。

転移・再発が見つかったら

13.転移や再発していたら、もうどうしようもないの?

転移や再発しても、様々な治療方法が開発されていますので、主治医と良く相談されて治療方法を選択するのが良いです。

14.家族ができることは?

患者さん本人の気持ちを考えて、ストレスを与えない環境つくりや免疫に良い食事など、日常生活で支えることができます。

その他

15.がん家系ってあるの?

がんの種類によっては遺伝性のものもありますが、がんは一種の老化現象なので誰にでも発症する可能性があると考えられています。

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