コラム

「横浜小児ホスピス設立のためのハートフルツアー2015」
地域で支える小児ホスピス

フリーライター 奈津野 亜希子さんのコラムです。

(2015年.vol16)

NPO法人「スマイルオブキッズ」(田川尚登理事長)は2015年1月23日、ピアニストの関孝弘氏によるチャリティーコンサート「横浜小児ホスピス設立のためのハートフルツアー2015」を、県立音楽堂(横浜市西区)で開催した。

小児ホスピスとは、生命に限りのある子どもとその家族を、症状緩和、家族の心身の休息、各種療法、心理社会的サポート、ターミナルケア、遺族のサポートなどのアプローチで支えていく施設であり、1982年にイギリスのオックスフォードに開設された「ヘレン&ダグラスハウス」で始まり、その後イギリスでは40カ所以上に広がり、カナダ、オーストラリア、ドイツ、アメリカをはじめ、多くの国々に影響を与えている。

日本でも近年、小児ホスピスを設立する活動が広がってきている。淀川キリスト教病院(大阪市東淀川区)は2012年、区内に小児ホスピス「淀川キリスト教病院ホスピス・こどもホスピス病院」を開設した。これ以上治療ができないと宣告された小児がん患者が緩和ケアを受ける6床と、家族のレスパイト(休息)のための6床の計12床。約1週間を上限に利用できるレスパイト病床には現在約170人が登録、新規入院は約1カ月待ちの状態という。

コンセプトは「第二の家」。「死を迎える暗い場所ではなく、患者本人が充実した生活を送れ、家族を最大限応援できる明るい施設にしたい」と鍋谷まこと院長は言う。「子を亡くした後の両親のケアも大切」との考えから、年に1度、遺族が写真や思い出の品を持ち寄って亡き子をしのぶ「家族会」を開いている。
また、国立成育医療研究センター(東京・世田谷区)は2016年、公的な医療機関として国内初の小児ホスピス「第二のわが家(仮称)」を開設する。計画では、敷地内に3階建ての施設を建設、個室6室と4人部屋2室のほか、遊び場や学習室を備える。

日本の小児緩和ケアはさまざまな課題を抱えている。たとえば、対象患者の絶対数が少ないため、専門スタッフの養成や配置が容易ではない。しかも、非がん疾患の患者の比率が成人に比べて高いうえ、疾患が希少かつ多様であるなど医療上のニーズの複雑さに加えて、教育の継続、家族にも及ぶ心理社会的な問題、そして子どもを亡くすことの重大性など成人以上に多岐にわたる難しいニーズに多方面から取り組まなければならない。

小児緩和ケアの複雑さを考えると、公的機関や医療関係者だけでは十分なケアはなかなか難しい。そうした中で、小児ホスピスは公的機関や専門スタッフが連携をとりつつ、そのほとんどが地元住民や企業の協力、ボランティアなどで支えられていることが多い。そのあり方を見ていると、身近な大人や地域全体で子どもや弱者を守るという姿こそが、社会の本当の姿ではないだろうかと感じるのである。無関心や利己主義でやり過ごすのではなく、自分の周りにいる子どもたちを見つめて欲しい。われわれ地域の大人が子どもたちにできることは少なくない。

チャリティーコンサートは設立金の3億円を目標に定期的に開催する予定だという。寄付は、ゆうちょ銀行「口座番号00260-2-52367トクヒ」スマイルオブキッズ(小児ホスピス建設用特定講座)」で受け付けている。

お問い合わせは、TEL:045-824-6014、メールはshitsumon@smileofkids.jpまで。