がんと免疫力のはなし
”がん”は2人に1人が罹る、とても身近で怖い病気です。
しかし、怖がってばかりいても何も解決できません。
そもそも、なぜ、”がん”ができてしまうのでしょうか。
そこを知らないと、「防ぐ」ことも「治す」こともできません。
がんと闘うには誰もが持つ「免疫力」がキーワードになります。
素朴な疑問から、体の中の免疫の働き方、免疫力を高める方法について分かりやすく説明していきましょう。
”がん”は2人に1人が罹る、とても身近で怖い病気です。
しかし、怖がってばかりいても何も解決できません。
そもそも、なぜ、”がん”ができてしまうのでしょうか。
そこを知らないと、「防ぐ」ことも「治す」こともできません。
がんと闘うには誰もが持つ「免疫力」がキーワードになります。
素朴な疑問から、体の中の免疫の働き方、免疫力を高める方法について分かりやすく説明していきましょう。
“がん”という病気は、体の細胞に異常が起き、“がん細胞”ができることから始まります。がんが検査で発見できるようになる大きさは1㎝ほど。がん細胞が増殖を繰り返し、1㎝の大きさになるまでに10―15年かかります。しかし、そこから急速に大きくなって、数年で命に関わる大きさに増殖します。 大きくなったがんは、周りの正常な細胞が必要とする栄養分を横取りしたり、臓器を破壊したりして、次々と体の機能に障害を起こして行きます。
では、何が原因で体の細胞に異常が起こるのでしょうか。よく指摘されるのは、生活習慣です。
食生活の欧米化(高カロリー・高脂肪食)や運動不足、肥満、睡眠不足、精神的なストレスなどがあります。
もうひとつは、直接、細胞の遺伝子を傷つける“発がん性物質”があります。
タバコや農薬などの有害化学物質、自然界の放射線や紫外線、ウイルスや細菌などが挙げられます。
実は、健康な人でも毎日数千個ものがん細胞が生まれています。
しかし、私たちの体には出来たばかりのがん細胞を退治する機能が備わっています。それが“免疫”の働き、つまり免疫力です。免疫力とは、具体的には、血液の成分のひとつである白血球やリンパ球の働きことを指します。白血球やリンパ球は“免疫細胞”と呼ばれます。
免疫細胞は全身に2兆個もあります。ただし、免疫力を担う免疫細胞のなかで、がんを退治できるものはごく一部です。風邪などのウイルスや細菌を退治する免疫細胞と、がん細胞などを退治する免疫細胞の種類は異なります。
がんを攻撃する免疫力を高めるには、免疫細胞のなかでも“キラーT細胞”“NK細胞”の働きがよく知られています。私たちの体の中では日々、次のような戦いが繰り広げられています。
免疫力が低下していたり、がん細胞の数が増えると、免疫細胞は対処しきれません。免疫細胞の攻撃から逃れて、生き残ったがん細胞はコッソリ隠れて増殖を始めます。がんが検査で発見できる前の状態です。
がん細胞が増殖した後に起こる、最も恐ろしいことの1つは、がん患者さんの体の免疫力が無力化してしまうことです。具体的には、免疫を無力化する「免疫抑制細胞」をがん細胞の周囲に増やします。
「免疫抑制細胞」はその名の通り、免疫ががん細胞を攻撃することを邪魔する「バリア」のようになります。そうなると、がん患者さんの体の中で免疫力が働きにくい免疫抑制状態になってしまうのです。
一般的に免疫力を高めるには、バランスの摂れた食事、十分な睡眠、適度な運動など、規則正しい生活を心がけて体調を整えることが大切と、よく言われます。
しかし、がん細胞が増殖して大きくなってしまった後に免疫力を高めるとなると、少し話が違ってきます。先ほども述べたように、がんになると“免疫抑制細胞”が増えて、免疫が無力化してしまい、簡単には免疫力を高めることが難しくなるのです。
この免疫抑制細胞は、がん細胞の周りにたくさん集まり免疫力を低下させます。いわば、ギャングの親分を取り囲むようにして四六時中守っている用心棒の集団のようなものです。
ですから、がんになってから免疫力を高めるには、免疫抑制細胞を少しでも減らしてやることが“がんに勝つ!”重要なポイントになります。
(作成:編集部)
<Web公開記事>
がんの治療効果を高めるには、免疫抑制を解除し、低下した免疫力を回復させることが重要であるということが明らかになってから、この分野の研究は急速に進みつつある。第52回「日本癌治療学会」において、免疫抑制細胞の異常増殖を抑える方法の研究が、着々と進んでいることが言及されている。
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