(監修:木沢記念病院皮膚科
皮膚がんセンター部長 神谷秀喜 先生)
2.皮膚がんの治療について
- 2-1.皮膚がんの治療方針
- 2-2.皮膚がんの治療――悪性黒色腫(メラノーマ)
- 2-3.皮膚がんの治療――有棘(ゆうきょく)細胞がん
- 2-4.皮膚がんの治療――基底細胞がん
- 2-5.皮膚がんの治療――乳房外(にゅうぼうがい)パジェット病
- 2-6.皮膚がんの治療で使われる薬剤
- 2-7.皮膚がん治療の合併症と副作用
- 2-8.皮膚がん治療後の経過観察
- 2-9.皮膚がんの患者さんがよく気にしたり悩んだりすることQ&A
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2-1.皮膚がんの治療方針
- 基本となるのは手術で、がんの辺縁(へんえん)から距離を開けて切除が行われる。
- 悪性黒色腫で遠隔転移がある場合、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が使われる。
皮膚がんの治療で中心となるのは手術です。がんを取り残さないようにするため、がんの辺縁※から距離をとって切除が行われます。がんのできている部位によっては、指など体の一部を切断する必要が生じる場合もあります。また、顔などにできている場合には、整容性や機能性も考慮した治療が必要になります。手術以外に、放射線療法や化学療法が行われることもあります。
※辺縁:その周りにある部分。
悪性黒色腫(メラノーマ)
遠隔転移がなければ手術が行われます。リンパ節転移が見つかっている場合には、原発巣に加えてリンパ節の切除も行われます。センチネルリンパ節生検※の結果、手術後にリンパ節転移があると判明した場合には、リンパ節を切除するための手術が改めて行われます。手術後に、再発予防のための補助化学療法が行われることがあります。
※センチネルリンパ節:がんが原発巣から最初に辿り着くリンパ節のこと
遠隔転移がある場合には、分子標的薬による治療や、免疫チェックポイント阻害薬による治療が行われます。
(図)悪性黒色腫の診療アルゴリズム
* Tis:melanoma in situ(上皮内黒色腫)病変
T1a:Tumor thickness 1mm以下、潰瘍なし、レベルⅢ以下、のすべての条件を満たす原発巣
** T1b以上:Tumor thickness 1mm超、あるいは潰瘍あり、あるいはレベルⅣ以上の原発巣
*** 原発巣に対しても必要に応じて適切な処置を施行する。
# 理学的所見ならびに画像検査による評価
公益社団法人日本皮膚科学会 「皮膚悪性腫瘍ガイドライン」を参考に編集部にて作図
有棘(ゆうきょく)細胞がん
基本的に手術が行われます。画像検査などでリンパ節転移が明らかな場合は、リンパ節の切除が行われます。手術後に、再発予防のために化学療法や放射線療法が行われることがあります。転移がある場合にも化学療法や放射線療法が行われることがあります。
(図)有棘細胞がんの診療アルゴリズム
* リンパ節郭清:がんの周辺にあるリンパ節を切除すること
日本皮膚悪性腫瘍学会編「科学的根拠に基づく皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン 第1版」(金原出版)を参考に編集部にて作図
基底細胞がん
治療は手術が基本です。多くは転移しないので、原発巣をしっかり切除できれば治療は終了になります。取り切れなかった場合には放射線療法が行われます。
(図)基底細胞がんの診療アルゴリズム
日本皮膚悪性腫瘍学会編「科学的根拠に基づく皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン 第1版」(金原出版)を参考に編集部にて作図
乳房外(にゅうぼうがい)パジェット病
治療は手術が基本です。再発防止のためにリンパ節の切除を行うことはありません。リンパ節に転移が認められる場合だけ、リンパ節の切除が行われます。手術できない場合や遠隔転移がある場合には、放射線療法が行われます。
(図)乳房外パジェット病の診療アルゴリズム
公益社団法人日本皮膚科学会 「皮膚悪性腫瘍ガイドライン」を参考に編集部にて作図
2-2.皮膚がんの治療――悪性黒色腫(メラノーマ)
- 手術では、がんの辺縁(へんえん)から1~2㎝離して切除する
- 急速に進歩した分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬
離れた臓器への転移がなければ手術が行われます。がんを取り残さないために、がんの辺縁(へんえん)※から距離をとって切除する必要があります。その距離は1~2㎝で、がんの厚さによって判断します。指にできている場合、指は脂肪層が少ないため皮膚と骨が近く、一部を切断しなければならないこともあります。骨に浸潤しているケースもあるからです。そのような場合、多くは関節から先を切断する関節離断術が行われます。切除した部位には、基本的に植皮※が行われます。植皮には、鼠蹊(そけい)部や鎖骨上部から採った皮膚が使われます。
※辺縁:その周りにある部分。
※植皮:他の部位の皮膚を採ってきて貼り付ける方法
リンパ節への転移がなければ、手術は原発巣を切除して終わりです。手術前に画像検査などでリンパ節転移が見つかっていたる場合には、原発巣の切除に加えてリンパ節の切除も行われます。原発巣の手術時にセンチネルリンパ節※生検を行い、その結果、リンパ節転移がある判定された場合には、リンパ節を切除するための手術が改めて行われます。切除するリンパ節は、がんのできている部位によって異なります。足のがんなら鼠蹊部のリンパ節、手のがんなら腋(わき)のリンパ節です。背中のがんだと、腋と鼠蹊部のどちらにも転移することがあります。
※センチネルリンパ節:がんが原発巣から最初に辿り着くリンパ節のこと
悪性黒色腫の治療は手術が基本ですが、機能の温存や整容性を考慮して、手術以外の方法が選択されることもあります。たとえば、目にできた悪性黒色腫は、手術をすれば眼球を摘出することになります。鼻の粘膜や口腔粘膜にできた悪性黒色腫は、手術で切除すると顔の形が変わってしまいます。このような場合には、重粒子線治療や陽子線治療などの放射線療法が優先されることもあります。ただし、これらの治療は必ずしも標準治療ではなく、健康保険は適用されません。
手術後の再発を防ぐための補助療法として、化学療法が行われることがあります。抗がん剤のダカルバジンとインターフェロンを併用するDフェロン療法、インターフェロンを続けて投与するインターフェロン維持療法といった方法があります。
離れた臓器に転移がある場合、それが単発なら放射線療法を行うことがあります。悪性黒色腫は放射線に対して感受性が低いのですが、ガンマナイフ※やトモセラピー※のように、がんを焼き尽くすような治療が行われています。
※ガンマナイフ:放射線の一種ガンマ線を用いて、虫めがねの焦点のように病巣部にのみ照射する治療法M
※トモセラピー:放射線の一種エックス線を用いた、CT撮影装置と放射線照射装置とを一体にした医療機械
離れた臓器に転移がある場合、かつては有効な治療法がありませんでした。ところが最近になって、2つの有効な治療法が登場してきました。1つが分子標的薬による治療、もう1つが免疫チェックポイント阻害薬による治療です。
分子標的薬は、特定の遺伝子変異を持つ悪性黒色腫に効果があります。悪性黒色腫の治療に使われているベムラフェニブとダブラフェニブは、BRAF阻害薬というタイプの薬で、BRAFという遺伝子変異がある悪性黒色腫に効果を発揮します。そのため、まず遺伝子の検査が必要です。がんの組織を検査して、BRAF遺伝子変異が見つかれば、これらの薬を使用することができます。
BRAF遺伝子変異が陽性になる確率は、欧米人に多い表在拡大型では高いのですが、日本人に多い末端黒子型では1~2割と低いことがわかっています。多くの患者さんが、この治療の対象とならないのです。この2つの薬以外に、トラメチニブという分子標的薬があります。この薬はダブラフェニブと併用することで有効性を発揮します。
分子標的薬は、使用できた場合には非常によく効きます。短期間のうちにがんが縮小したり、肉眼的に消えてしまったりすることもあります。しかし、その効果はいつまでも続かず、多くは半年から1年ほどで耐性ができ、再びがんが増殖してしまいます。
免疫チェックポイント阻害薬は、免疫の力を利用する薬です。免疫細胞は、体内のがん細胞を攻撃して死滅させる力を持っていますが、がん細胞はその攻撃を逃れる仕組みを持っています。その仕組みを働かなくさせることで、本来の免疫の力でがんを攻撃させるのが、免疫チェックポイント阻害薬です。現在、日本で悪性黒色腫の治療に使用できる免疫チェックポイント阻害薬は、ニボルマブ、イピリムマブ、ペンブロリズマブの3種類です。これらは、分子標的薬と違い、根治不能な悪性黒色腫であれば誰でも使用できます。
免疫チェックポイント阻害薬も非常によく効きますが、分子標的薬の効き方とは異なっています。がんが急速に縮小したり、消えてしまったりすることは少ないのです。しかし、がんの進行を抑えることが多く、悪くならずに維持するのにはよい薬です。
離れた臓器に転移があり、根治的な手術ができない悪性黒色腫では、まずBRAF遺伝子変異を調べ、陽性なら分子標的薬を使用します。そして、それが効かなくなる前に、免疫チェックポイント阻害薬に切り替えることが推奨されています。
(表) 「悪性黒色腫の厚さに応じた切除マージン」
がんの厚さ | 切除マージン |
1.0mm以下 | 1cm |
1.01~2.0mm | 1~2cm |
2.01~4.0mm | 2cm |
4mmを超える | 2cm |
参考・皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第2版
(表) 「悪性黒色腫の治療で用いられる主な薬剤」
がんの種類 | 治療目的 | 薬剤名(一般名) | 薬の種類 |
悪性黒色腫(メラノーマ) | 手術後の再発予防 | ダカルバジン | 抗がん剤 |
インターフェロン | |||
遠隔転移ある場合の治療 | ベムラフェニブ | 分子標的薬剤 | |
ダブラフェニブ | |||
トラメチニブ | |||
ニボルマブ | 免疫チェックポイント阻害剤 | ||
イピリムマブ | |||
ペンブロリズマブ |
2-3.皮膚がんの治療――有棘(ゆうきょく)細胞がん
- 原発巣をしっかり切除し、再発予防のリンパ節の切除は行わない
手術では、がんの辺縁(へんえん)※から1~2㎝離して切除します。リンパ液の流れに乗って起こる転移が少ないがんなので、再発を予防する目的でリンパ節郭清(かくせい)※を行うことはありません。画像検査の結果、リンパ節が明らかに腫れているような場合にのみ、リンパ節郭清が行われます。有棘(ゆうきょく)細胞がんは、治療せずに放置すると巨大な腫瘍になることがあり、そのような場合には、体の一部を切断しなければならないこともあります。
※辺縁:その周りにある部分。
※リンパ節郭清:がんの周辺にあるリンパ節を切除すること
転移があり根治的な手術ができない場合や、手術後の再発予防に、化学療法や放射線療法が行われます。有棘細胞がんは扁平上皮がんなので、他の扁平上皮がんと同じような化学療法が行われます。よく使われるのは、ペプレオマイシンとマイトマイシンを併用するPM療法です。その他、シスプラチンとドキソルビシンを併用するCA療法が行われることもあります。放射線療法も併用しますが、表面がカサカサする角化が強いタイプ(悪性度の低いタイプ)の有棘細胞がんにはあまり有効ではありません。よく効くのは角化が弱いタイプです。
※扁平上皮がん:体の表面や食道などの内部が空洞になっている臓器の内側の粘膜組織から発生するがん。
(表) 「有棘(ゆうきょく)細胞がんの治療で用いられる主な薬剤」
がんの種類 | 治療目的 | 薬剤名(一般名) | 薬の種類 |
有棘(ゆうきょく)細胞がん | 転移がある場合の治療、手術後の再発予防 | ペプレオマイシン | 抗がん剤 |
マイトマイシン | |||
シスプラチン | |||
ドキソルビシン |
2-4.皮膚がんの治療――基底細胞がん
- 多くは転移しないので、原発巣を切除すれば治癒する。
- 顔などでがんを完全に切除できた場合には、皮弁(ひべん)が行われることがある。
治療は手術が基本です。多くは転移しないので、原発巣を切除すれば治癒します。リンパ節郭清(かくせい)※が必要になることはほぼありません。
※リンパ節郭清:がんの周辺にあるリンパ節を切除すること
切除する大きさによって、植皮や皮弁が行われます。植皮は他の部位の皮膚を採ってきて貼り付ける方法です。皮弁は、切除した部位の近くの皮膚を、脂肪組織や血管と一緒に、切除部位に移動させる方法です。皮弁なら皮膚の色や質感が近いので、きれいに仕上がります。ただ、皮弁は厚いため、局所再発した場合に発見が遅れるという問題があります。基底細胞がんは確実に切除できていれば再発のリスクが低いため、顔の手術などでは皮弁が行われることがあります。
2-5.皮膚がんの治療――乳房外(にゅうぼうがい)パジェット病
- 手術が基本だが放射線療法も効果が高い
原発巣の手術が治療の基本となっています。ただ、がんの辺縁※からどのくらい離して切除するかについては、必ずしも定説はありません。1㎝でいいという説もあれば、もっと広くとるべきという意見もあります。もともと肉眼的境界がはっきりしていない、という難しさもあります。
※辺縁:その周りにある部分。
手術は原発巣の切除が基本で、再発予防のためにリンパ節の切除を行うことはありません。リンパ節が腫れていて、転移が明らかな場合だけ、リンパ節の切除が行われます。
放射線に対する感受性は悪くないので、根治が望めない場合などに、放射線療法が行われます。また、肛門周囲などに発症し、人工肛門を造設したくない人が、放射線療法を選択するようなケースもあります。比較的初期の病変では、手術をせずに、放射線療法だけで治癒してしまうこともあります。
化学療法は腺がんに準じて行います。まずタキサン系抗がん剤のパクリタキセルやドセタキセルが使われます。それに続き、5-FUとシスプラチンを低用量で投与する低用量FP療法が行われることもあります。
(表) 「乳房外(にゅうぼうがい)パジェット病の治療で用いられる主な薬剤」
がんの種類 | 治療目的 | 薬剤名(一般名) | 薬の種類 |
乳房外(にゅうぼうがい)パジェット病 | 転移がある場合の治療 | パクリタキセル | 抗がん剤 |
ドセタキセル | |||
5-FU | |||
シスプラチン |
2-6.皮膚がんの治療で使われる薬剤
皮膚がんの治療では、主に次のような薬剤が使用されます。
(表) 「皮膚がんの治療で用いられる主な薬剤」
がんの種類 | 治療目的 | 薬剤名(一般名) | 薬の種類 |
悪性黒色腫(メラノーマ) | 手術後の再発予防 | ダカルバジン | 抗がん剤 |
インターフェロン | |||
遠隔転移ある場合の治療 | ベムラフェニブ | 分子標的薬剤 | |
ダブラフェニブ | |||
トラメチニブ | |||
ニボルマブ | 免疫チェックポイント阻害剤 | ||
イピリムマブ | |||
ペンブロリズマブ | |||
有棘(ゆうきょく)細胞がん | 転移がある場合の治療、手術後の再発予防 | ペプレオマイシン | 抗がん剤 |
マイトマイシン | |||
シスプラチン | |||
ドキソルビシン | |||
乳房外(にゅうぼうがい)パジェット病 | 転移がある場合の治療 | パクリタキセル | 抗がん剤 |
ドセタキセル | |||
5-FU | |||
シスプラチン |
2-7.皮膚がん治療の合併症と副作用
皮膚がんの手術では、がんのできている部位によっては、体の一部を切断しなければならないことがあります。再発を防ぐためには、がんから適切な距離をとって切除する必要があるためです。ただし、適切な切除マージンが明らかになり、かつてのように脚や腕を切断するようなケースはほとんどなくなっています。ただ、指の関節から先の切断が必要になることはあります。また、目、鼻粘膜、口腔粘膜などにがんができた場合には、手術することで機能や整容性に問題が生じることがあります。
皮膚がんの治療で使用する薬剤によって、次のような副作用が出ることがあります。
(表) 「皮膚がんの治療で用いられる薬剤の主な副作用」
薬剤名 | 主な副作用 |
ダカルバジン | 吐き気、脱毛、骨髄抑制など |
インターフェロン | 発疹、ショック、白血球減少、血小板減少、発熱など |
ベムラフェニブ | 関節痛、発赤、光線過敏症など |
ダブラフェニブ+トラメチニブ | 発熱、悪寒、倦怠感、発疹、悪心・嘔吐など |
ニボルマブ | 疲労、倦怠感、発疹、悪心・嘔吐、掻痒症など |
イピリムマブ | 大腸炎、消化管穿孔、重度の下痢など |
ペンブロリズマブ | 疲労、食欲減退、呼吸困難、咳嗽など |
ペプレオマイシン | 吐き気、脱毛、骨髄抑制、間質性肺炎など |
マイトマイシン | 吐き気、脱毛、骨髄抑制、肺障害、腎障害など |
シスプラチン | 吐き気、骨髄抑制、脱毛、腎障害など |
ドキソルビシン | 骨髄抑制、吐き気、脱毛、心毒性など |
パクリタキセル | 骨髄抑制、吐き気、脱毛、末梢神経障害など |
ドセタキセル | 骨髄抑制、吐き気、脱毛、浮腫、発疹など |
5-FU | 骨髄抑制、吐き気、脱毛、下痢、口内炎など |
2-8.皮膚がん治療後の経過観察
悪性黒色腫の治療後の経過観察は、ステージⅠとステージⅡなら、3ヵ月に1回で、これを2~3年続けます。それ以降は6ヵ月に1回にします。ステージⅢ以上の場合は毎月で、3~5年は継続します。悪性黒色腫は再発しやすいので、経過観察のため頻繁に医療機関を受診する必要があります。
有棘(ゆうきょく)細胞がんの治療後の経過観察は、がんを手術で取り切れているなら、3ヵ月に1回程度です。それを2~3年続け、それ以降は6ヵ月に1回にします。
基底細胞がんの治療後の経過観察は、手術でしっかり取り切れている場合は、1年間は3ヵ月に1回ですが、それ以降はセルフチェックとします。それだけ再発のリスクが低いのです。
乳房外(にゅうぼうがい)パジェット病の治療で広い範囲を切除した場合には、機能面での問題が生じることがあります。陰茎や陰嚢の手術では排尿障害が、肛門周囲の手術では排便障害が起きたりします。そのために、治療終了後も、2ヵ月に1回くらい通院してもらうことがよくあります。そういった問題がなければ、3ヵ月に1回程度にします。
どのがんの場合でも、3~6ヵ月に1回はCT検査を行います。さらに、1年に1回はPET検査を行うのが理想的です。
2-9.皮膚がんの患者さんがよく気にしたり悩んだりすることQ&A
- Qセカンドオピニオンは、すべき?
- A
- 担当医の意見が第一の意見であるのに対し、他の医師の意見をセカンドオピニオンと呼びます。すべての患者さんがセカンドオピニオンを聞きに行ったほうがよいわけではありません。担当医の説明を聞き、自分で納得できればそれで十分である場合も多いでしょう。しかし納得がいかない場合には、これまでの治療経過・検査結果・今後の予定などを担当医に記載してもらい、別の医師の意見を聞くのもよいでしょう。そして、その結果を担当医に持ち帰って相談するのがベストです。
- Q皮膚がんの手術後に注意すべきことは? 植皮した部分の感覚は戻りますか?
- A
- 皮膚がんの手術では、多くの場合、植皮※が行われます。皮膚の移植ですが、他人の皮膚ではつかないため、自分の皮膚を移植します。多くの場合、鼠蹊(そけい)部や鎖骨上部の皮膚が使われます。皮膚を採った部分は、すりむき傷より少しひどい程度の状態になりますが、2週間ほどで再生するのでまったく問題ありません。植皮した部分は、最初の2~3ヵ月ほどは皮膚が縮むので、よくマッサージしたり、被覆材を当てて圧迫したりする必要があります。植皮した部位は、最初は感覚がありませんが、徐々に神経が伸びてくるため、5年ほどするとほぼ元の状態まで感覚が戻ります。
※植皮:他の部位の皮膚を採ってきて貼り付ける方法