新シリーズ 宮西ナオ子のがんに挑むサプリメント
徹底リサーチ 第3回 カバノアナタケ(チャーガ)

 本連載では補完代替医療を検討しているがん患者さんに対して、客観的な視点からサプリメントをご紹介しています。今や治療に関する情報はテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、書籍、インターネットなど数多くの情報源から得ることができますが、実際のところ玉石混交の状態です。そのため何を取り入れたらよいのか、どのようなポイントで選択したらよいのか、迷っている方も多いかもしれません。
 そこでこの連載では、「実際の素材」を入手し、自分の目で観察・食した結果などを体験的にご報告します。一方では権威ある雑誌にとりあげられている「ヒト臨床試験の研究論文」などをご紹介。その基本的な見方から研究の課題などをお伝えしていきたいと思います。連載第3回目は、カバノアナタケ(チャーガ)についてリサーチしました。

カバノアナタケ(チャーガ)とは?

 がん患者さんには「チャーガ」として知られているサプリメントだと思いますが、その和名はカバノアナタケ。サルノコシカケ科に属するきのこの一種で、名前の由来はロシア語の「古い幹にできる黒いきのこ様のコブ」を意味します。寒い地域で生育し、主な産地はロシアです。そのため「シベリア霊芝」とも呼ばれています。日本では北海道で見られます。主に白樺の木に寄生し、10〜15年の長い歳月をかけて生長していきます。やがては直径約30㎝くらいまで育ち、黒く、ごつごつとした岩のようになります。この黒い部分が菌糸塊で、子実体は樹皮の下にあるためほとんど見ることはできません。
 寄生された白樺は徐々に栄養分を奪い取られてしまい、やがては枯れてしまうことから「白樺のがん」とも呼ばれてきました。ところがこれが、がんに効果があるとわかったのは、1951年にソビエト連邦科学アカデミー植物研究所と第一レニングラード医大で始まったカバノアナタケの研究でした。この研究により健康に対する効果が明らかになってきたのです。
 そして抗がん作用については、1970年にノーベル文学賞を受賞したロシアの作家、アレクサンドル・イサーエヴィチ・ソルジェニーツィンの代表作『がん病棟』(新潮社・小笠原豊樹訳)にも登場してきます。1963年頃に執筆を開始し、1966年に第一部が、1967年に第2部が完成したといいます。
 本書の中には、《ロシアの百姓は、自分たちはそれと気づかずに、そのチャーガでもって何世紀ものあいだ、癌から救われていたのではなかろうか》という記述が見られます。
 ソビエト連邦では、薬局の指定公認薬として臨床研究で効果が認められたカバノアナタケを主に手術不能のがん、胃や十二指腸の潰瘍、慢性胃炎、胃腸のポリープの治療などに使用してきたといいます。

カバノアナタケの抗がん作用

 カバノアナタケにはタンパク質、脂質、糖質、ビタミン類、ミネラル類、フラボノイド、リグニンなどがバランスよく含まれています。またβグルカンという多糖類が豊富に含まれているため、免疫細胞を活性化する効果が期待できるとされます。またメラニン色素には、遺伝子保護効果があることが知られています。つまり免疫力を活性化してがんへの攻撃力を助ける働きに加え、がんの原因となる酸化ストレスを除去したり、傷ついた遺伝子を保護する作用によって抗がん効果があると報告されているのです。さらに体温を上げ、代謝を上げることによりがんの進行を抑制するのではないかといわれます。
 また健康増進によいとされる食物繊維であり強力な抗酸化作用をもつともいわれる水溶性リグニン含有量が高いことも注目できます。特にカバノアナタケのもつ白色腐朽菌(はくしょくふきゅうきん)のおかげで水溶性に変化するため、体内に浸透しやすくなっています。
 ほかにも血流をよくし、コレステロールを抑えるイノシトールや強い抗酸化作用をもつβカロテン、ポリフェノールの一種であるフラボノイドなども含まれ、抗ウイルス効果、アレルギー疾患抑制効果、難治性皮膚病に対する効果、肝障害の改善効果、炎症性腸疾患の改善効果、認知機能障害の改善効果、炎症性腸疾患患者のDNA障害の抑制効果なども注目されています。

カバノアナタケは煮出すだけでなく調味料にもなる!

 カバノアナタケが一般的にどのように使われているのか調べ、実際に取り寄せて試してみました。今回は北海道の北見紋別産「カバノアナタケ塊」(原体)をインターネットで取り寄せました。ビニール袋には塊が大小合わせて16個(700g)も入っていました。ごつごつとした茶褐色で木片のような感じ。手に取ると見た目よりも軽く軽石のようです。さわると表面は粉っぽく、ぼろぼろと破片が落ちます。匂いを嗅いでみると、かすかに香ばしい香りが漂います(写真1)。

写真1 北海道の北見紋別産「カバノアナタケ塊」(原体)

写真1

カバノアナタケの煮出し方

大きなお鍋に水2ℓを入れ、手のひらサイズのものを選び出し、お鍋の中に入れて火をつけると、すぐに茶色の色が出てきて、お鍋が茶色に染まりました。
 沸騰してきたら火を弱めさらに10分間煮ました(写真2)。

写真2 沸騰してきたら火を弱めさらに10分間煮ました

写真2

その後、一度火をとめて40分以上放置し、塊を鍋から取り出してまな板に移動。少し硬い部分は金槌も使ってみましたが、水分でふやかされている部分は包丁で切りました。かなり硬いため、包丁を使う際には注意が必要です。 削り取った破片は玉ねぎのみじんぎりのように砕いていくと、徐々に細かくなり、粉末に近くなります(写真3)。

写真3 削り取った破片は玉ねぎのみじんぎりのように砕いていくと、徐々に細かくなり、粉末に近くなります

写真3

またここで煮だした一番茶は飲むことができます。見た目は濃い茶色ですが、飲んでみると癖のない風味でおいしく楽しめました(写真4)。

写真4 ここで煮だした一番茶は飲むことができます。見た目は濃い茶色ですが、飲んでみると癖のない風味でおいしく楽しめました

写真4

これならば毎日飲むことも可能です。また使いきれなかったカバノアナタケは、乾燥して保管しておけば、数回は使うことができるといいます。冷凍保存も可能です。
 粉砕したカバノアナタケは乾燥させてティーバッグに入れて飲んだり、料理に使ったりすることができます(写真5)

写真5 使いきれなかったカバノアナタケは、乾燥して保管しておけば、数回は使うことができるといいます。冷凍保存も可能です。 粉砕したカバノアナタケは乾燥させてティーバッグに入れて飲んだり、料理に使ったりすることができます

写真5

料理に使うときは、パウダーを料理にまぶすだけ。ヨーグルトやサラダにかけて食べてもOK。納豆やとろろなどに入れてご飯と一緒に食べてもよいでしょう。

カバノアナタケを使った料理

カバノアナタケ(チャーガ)入り北海道料理

じゃがいも200g
片栗粉30g
カバノアナタケ粉末大匙1杯
バター少々
みたらしダレ(醤油、砂糖、はちみつ、みりん、カバノアナタケ茶で溶いた片栗粉)

作り方:鍋でじゃがいもをふかし、熱いうちにつぶし、マッシュポテト風にし、片栗粉とカバノアナタケの粉末を入れて混ぜる。混ぜた生地を食べやすい大きさに丸めて少し厚みのある円形に。油をひいたフライパンにバターを加えて、きつね色になるまで焼いたら完成。生地を焼いている間にみたらしダレを混ぜてフライパンで加熱してたれをつくり、たれをかけて食べる(写真6)。

写真6 カバノアナタケ(チャーガ)入り北海道料理

写真6

なんともいえない風味のみたらしダレがお団子によく合って美味。カバノアナタケのカリっとした歯ごたえもアクセントとなり、美味しさを引き立てます。

論文による検証

 次に論文からの検証を行いたいと思います。
 カバノアナタケは強力な抗腫瘍活性を示すといわれ、長い間、主にロシアをはじめとしていくつかの国ではがんの治療に使用されてきたものの、実際の効果やその基本メカニズムはまだ解明されていない状態です。
 PubMed に掲載されている論文を調査したところ、カバノアナタケを用いた動物試験は確認できましたが、ヒト臨床試験は確認できませんでした。今回ご紹介できるのは動物試験の論文のみとなります。

マウスにおける腫瘍抑制効果と体温維持。

〈解説〉
 カバノアナタケ熱水抽出物の連続摂取による腫瘍抑制効果を調べることを目的とし、カバノアナタケが、マウスにおいてがんの進行を抑制し、また体温を維持したという有意な腫瘍抑制効果を示した。

〈コメント〉
 本研究結果は、エネルギー代謝を促進してがんを抑制する自然療法としてカバノアナタケ抽出物が使用できる可能性を示唆する。

 PubMed No. 27441282
 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=27441282
 Heliyon 誌 2016年5月12日、2巻5号


メラノーマ保有マウスにおける抗腫瘍効果

〈解説〉
 本研究では、発芽玄米上で培養したメシマコブ、発芽玄米上で培養したカバノアナタケ、発芽玄米上で培養したベニクスノキタケ、マンネンタケから得たキノコ菌糸体の混合物であるCARI(CellActivation Research Institute)Ⅲの抗腫瘍効果を評価した。

〈コメント〉
 カバノアナタケを含む混合物が、メラノーマ保有マウスにおいて、ドキソルビシン投与群に匹敵する抗腫瘍効果を示した。

 PubMed No. 25221864
 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=25221864
 Molecules 誌 2014年9月12日、19巻9号、p.14383 ~14395


ヒト癌細胞および肉腫細胞保有マウスにおける抗腫瘍効果

〈解説〉
 カバノアナタケが、ヒトがん細胞において細胞毒性を抑制、また肉腫細胞保有マウスにおいて腫瘍増加の抑制を示したという。

〈コメント〉
 カバノアナタケおよびその化合物が食品・製薬業界で天然の抗腫瘍成分として使用できる可能性を示唆する。

 PubMed No. 20607061
 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=20607061
 Nutr Res Pract. 誌 2010年6月4巻(3号)、p.177 ~182

総評・まとめ

 カバノアナタケは、人間の臨床試験における論文はないものの、古くからロシアの家庭薬として親しまれてきた歴史があり、しかも目立った副作用の報告はないようです。摂取の目安は1日約10〜20gで、がんなどの治療中であれば体調に合わせて増量することも可能だといわれます。
 カバノアナタケを飲むタイミングとしては、就寝前に飲むのが理想的といわれます。というのも免疫細胞は寝ている間につくられるからです。飲んだり、料理に使ったりして継続して摂取すれば体調の改善を期待できるようです。効き目は早い人では1週間程度、遅くても1カ月程度で自覚するという報告があります。
 私も飲み始めてから心なしか睡眠が深くなり、寝起きもよく、便通もよくなりました。料理にカバノアナタケの粉末をふりかけたり、カバノアナタケのティーバッグをつくって手軽に飲んだりと簡単に用いることができるので、日々の暮らしに取り入れたら予防医学としても役に立つのではないでしょうか。

宮西ナオ子(みやにし・なおこ) 上智大学ポルトガル語学科卒業。生き方研究家・ライター・エッセイスト・女性能楽研究家・博士(総合社会文化)。著書に『朝2時間早く起きれば人生が変わる』『眠る前の7分間』『一週一菜の奇跡』『和ごころのある暮らし』など多数。2014年「東久邇宮文化褒賞」受賞。

宮西ナオ子(みやにし・なおこ)
上智大学ポルトガル語学科卒業。生き方研究家・ライター・エッセイスト・女性能楽研究家・博士(総合社会文化)。著書に『朝2時間早く起きれば人生が変わる』『眠る前の7分間』『一週一菜の奇跡』『和ごころのある暮らし』など多数。2014年「東久邇宮文化褒賞」受賞。

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