(監修:がん研有明病院 婦人科副部長 宇津木久仁子先生)

1.子宮がんとは

1-1.子宮がんとは

  • 子宮にできるがんには「子宮頸がん」と「子宮体がん」があり、両者は異なる性質を持っている。
  • 子宮頸がんはウイルスの感染で起こり、20歳代での発症も増えている。
  • 子宮体がんは閉経後の50~60歳代に多い

子宮にできるがんには、子宮頸部に発生する「子宮頸(けい)がん」と、子宮体部に発生する「子宮体(たい)がん」があります。発生する部位が異なるだけでなく、がん細胞の種類も違いますし、検査法や治療法も異なります。

(図)「子宮頸がんと子宮体がんの発生する場所」

子宮頸がんとは

子宮の腟に近い部分を子宮頸部といいます。この子宮頸部から発生するがんが子宮頸がんです。新たに子宮頸がん(Ⅰ~Ⅳ期)と診断される人は、年間10000人を超えています(2011年の推計値は11378人)。また、子宮頸がんで死亡する人は、年間2500人ほどいます(2013年は2656人)。
※国立がん研究センターがん対策情報センター「がんの統計’14」

子宮頸がんの多くは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が関係して起こります。ごくありふれたウイルスで、性交経験のある女性の約8割が感染すると言われています。このウイルスに感染しても、通常は自然に排除されるのですが、一部ががんの発生につながるのです。

かつては30歳代後半から40歳代が中心でしたが、最近は罹患する年齢が若年化し、20歳代での発症が増えています。

表)「子宮頸がんの病期別5年生存率」
(2006年に治療を開始した人の5年生存率)

出典:日本産科婦人科学会

子宮体がんとは

子宮の奥3分の2ほどの部分を子宮体部といいます。この子宮体部から発生するがんが子宮体がんです。新たに子宮体がんと診断される人は、年間15000人近くいます(2011年の推計値は14763人)。また、子宮体がんで死亡する人は、年間2000人ほどいます(2013年は2107人)。
※国立がん研究センターがん対策情報センター「がんの統計’14」

子宮体がんは、50~60歳代の閉経後の女性に多いという特徴があります。子宮体がんは子宮内膜に発生するため、月経で子宮内膜が毎月剥がれ落ちていると、そこにがん細胞は増殖しにくいため、子宮体がんになることはまずありません。しかし、閉経後は子宮内膜が剥がれ落ちなくなるため、そこにがん細胞が増殖する可能性が高まるのです。したがって、たとえ若くても月経不順などがあれば、子宮体がんのリスクが高くなります。

子宮体がんの病期別の5年生存率は表に示す通りです。Ⅰ期、Ⅱ期の5年生存率は90%を超え、Ⅲ期でも80%に達しています。

表)「子宮体がんの病期別5年生存率」
(2006年に治療を開始した人の5年生存率)

出典:日本産科婦人科学会

1-2.子宮がんの検査

  • 子宮は腟とつながっているため、細胞や組織を採取する検査を行いやすい。
  • 子宮頸がんは、検診として子宮頸部細胞診が広く行われている。

子宮頸(けい)がん

子宮頸部は子宮の腟側に位置するので、細胞や組織を採取してくる検査をしやすいのが特徴です。子宮頸がん検診も広く行われています。表に示したような検査が行われています。

(表)「子宮頸がんの主な検査」

検査名 検査のやり方 検査でわかること
頸部細胞診 子宮頸部の粘膜を綿棒などでこすり、細胞を採取する。その細胞を顕微鏡で観察し、異常な細胞がないかを調べる。 がんが存在するかどうかがわかる。早期の上皮内がん(がんが上皮内にとどまる状態)で発見されることもある。異形成という前がん状態で見つかることもある。
内診・クスコ診 内診では、腟側と腹部側から子宮を触って硬さや大きさなどを調べる。クスコ(腟鏡)という器具を使い、腟を開いて子宮頸部を観察するのがクスコ診である。 子宮や卵巣の大きさ、硬さ、動きやすさなどがわかる。クスコ診では、出血の有無、おりものの状態、がんの状態などがわかる。
コルポスコピー クスコ診を行う際に、コルポスコピーという拡大鏡を使い、子宮頸部を観察する。 拡大することで、より詳しく子宮頸部の状態がわかる。拡大して見ながら、組織を採取することもある。
組織診 子宮頸部の疑わしい部位の組織を小さく切り取り、それを顕微鏡で調べる。 がん細胞が見つかれば、子宮頸がんの確定診断となる。
経腟超音波検査 腟の中に超音波の発信器であるプローベを入れ、そこから超音波を発信して、周囲の状態を画像化する。腹部から超音波を発信する腹部超音波検査より、より近くから超音波を当てるため、子宮や卵巣の状態をより正確に調べることができる。 がんの大きさや位置がわかる。外来ですぐに行えるのも、この検査の大きな特徴である。
MRI検査 磁気を利用して体内を断層画像として描き出す。 がんの大きさや、周囲への浸潤の程度を調べる。
CT検査 エックス線を利用して体内を断層画像として描き出す。 リンパ節転移の有無や、遠隔転移の有無を調べる。

子宮体(たい)がん

子宮体がんが疑われる場合には、表に示したような検査が行われています。

(表)「子宮体がんの主な検査」

検査名 検査のやり方 検査でわかること
内膜細胞診 細いブラシのような器具を使い、子宮内膜の細胞を採取し、それを顕微鏡で調べる。細胞を採取する際に、多少痛みを伴う。 がん細胞の有無がわかる。
内診 腟側と腹部側から子宮を触って硬さや大きさなどを調べる。 子宮や卵巣の大きさ、硬さ、動きやすさなどがわかる。
組織診 子宮体部の疑わしい部位から内膜の組織を採取し、それを顕微鏡で調べる。 がん細胞が見つかれば、子宮体がんの確定診断となる。
経腟超音波検査 腟の中に超音波の発信器であるプローベを入れ、そこから超音波を発信して、周囲の状態を画像化する。腹部から超音波を発信する腹部超音波検査より、より近くから超音波を当てるため、子宮や卵巣の状態をより正確に調べることができる。 がんの大きさや位置がわかる。外来ですぐに行えるのも、この検査の大きな特徴である。
MRI検査 磁気を利用して体内を断層画像として描き出す。 がんの大きさや、周囲への浸潤の程度を調べる。
CT検査 エックス線を利用して体内を断層画像として描き出す。 リンパ節転移の有無や、遠隔転移の有無を調べる。

1-3.子宮がんの進行度

  • 子宮頸がんは、がんが子宮頸部に限局するか、腟や子宮傍組織に浸潤しているか、周囲の臓器や遠隔転移があるかで分類されている。
  • 子宮体がんは、がんが子宮体部に限局するか、頸部に浸潤しているか、子宮外に浸潤しているか、骨盤外に広がっているかでⅠ~Ⅳ期に分類する。

子宮頸(けい)がんの病期

子宮頸がんの病期(ステージ)は、図に示すように分類されています。Ⅰ期は、がんが子宮頸部に限局しているものです。Ⅱ期は、がんが子宮頸部を越えて広がっていますが、骨盤壁、腟壁の下3分の1には達していません。Ⅲ期は、がんが骨盤壁や、腟壁の下3分の1に達しています。Ⅳ期は、がんが骨盤腔を越えて広がるか、膀胱や直腸の粘膜にも広がっています。病期はさらに細かく分類され、病期に応じた治療が行われます。

図)「子宮頸がんの進行期分類」

図)「子宮頸がんの進行期分類」
図)「子宮頸がんの進行期分類」

(表)「子宮頸がんの進行期」

上皮内がん がんが子宮頸部の上皮内にとどまっている状態
IA期 がんが上皮の下の膜(基底膜)を破って5mm以内まで広がる
IB期 がんがさらに基底膜から5mmを超えて広がる
IIA期 がんが腟の上3分の2まで広がる
IIB期 がんが子宮を支える組織(子宮傍組織)まで広がるが骨盤壁には至らない
IIIA期 がんが腟の下3分の1まで広がる
IIIB期 がんが子宮を支える組織(子宮傍組織)まで広がり骨盤壁にまで至る
IVA期 がんが子宮に隣接した膀胱や直腸まで広がる
IVB期 がんが肺や肝臓など、子宮から離れている場所に広がる

出所:日本産科婦人科学会編『子宮頸癌取扱い規約第3版』(金原出版)より作成

子宮体(たい)がんの病期

子宮体がんの病期(ステージ)は、図に示すように分類されています。Ⅰ期は、がんが子宮体部に限局しています。Ⅱ期は、がんが子宮頸部に浸潤しています。Ⅲ期は、がんが子宮外に広がっていますが、骨盤を越えて外には広がっていません。Ⅳ期は、がんが骨盤を越えて広がるか、膀胱や直腸の粘膜に浸潤しているか、遠隔転移があります。病期はさらに細かく分類され、病期に応じた治療が行われます。

図)「子宮体がんの進行期分類」

図)「子宮体がんの進行期分類」
図)「子宮体がんの進行期分類」

(表)「子宮体がんの進行期」

IA期 がんの広がりが子宮の内膜から筋層2分の1未満
IB期 がんが子宮の筋層の2分の1を越えて広がっている
II期 がんが子宮頸部の間質に広がっている
IIIA期 がんが子宮の外側の膜や、卵巣、卵管に及ぶ
IIIB期 がんが腟や子宮傍組織に広がる
IIIC期 がんがリンパ節に転移している
IVA期 がんが膀胱や直腸に広がっている
IVB期 がんが小骨盤外、肝臓や肺などの離れた場所、鼠径リンパ節に転移している

出所:日本産科婦人科学会編『子宮頸癌取扱い規約第3版』(金原出版)より作成

1-4.子宮がんの再発

  • 肉眼では見えない微小ながんが増殖することで再発が起こる。
  • 治療後2~3年で再発することが多い。

子宮頸(けい)がんも子宮体(たい)がんも、手術で取り除くことができても、その後に再発することがあります。手術でがんを取り除くと、がんが消失したように見えますが、肉眼では見えない微小ながんがどこかに残っていることがあります。それが時間の経過とともに増殖してくることで再発が起こるのです。再発は、温存した子宮や周囲の組織に起こることもありますし、リンパ節転移や遠隔転移(肝転移、肺転移、脳転移、骨転移など)という形で再発してくることもあります。治療後5年以上経過してから再発が起こることもありますが、再発の多くは治療後2~3年で起こります。

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