転移・再発予防のための食事/運動/生活習慣
がん患者さんに向けたがんの転移・再発の予防方法について公的機関からの指針はまだありません。ただし、健康な方が、がんのリスクを下げる食事・運動・生活習慣は、厚生労働省、国立がん研究センター、WHO(世界保健機構)、などが発表しています。
ここでは、非常に研究レベルの高い以下のデータを紹介します。
関連の 強さ |
リスクを下げるもの | リスクを上げるもの | ||
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食物関連要因 | 関連するがんの種類 | 食物関連要因 | 関連するがんの種類 | |
確実 | 運動 | 結腸がん | 肥満 | 食道がん(腺癌)、大腸がん、乳がん<閉経後>、子宮体部がん、腎臓がん、膵臓がん |
授乳 | 乳がん | 内臓脂肪 | 大腸がん | |
高身長 | 大腸がん、乳がん<閉経後> | |||
アルコール | 口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、大腸がん(男性)、乳がん | |||
アフラトキシン | 肝臓がん | |||
飲料水中の砒素 | 肺がん | |||
β-カロテンの サプリメント |
肺がん | |||
可能性大 | 肥満 | 乳がん<閉経前> | 肥満 | 胆嚢がん |
運動 | 乳がん<閉経後>、子宮体部がん | 内臓脂肪 | 膵臓がん、乳がん<閉経後>、子宮体部がん | |
果物 | 口腔・咽頭、喉頭がん、食道がん、胃がん、肺がん | 成人期の体重増加 | 乳がん<閉経後> | |
非でんぷん野菜 | 口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、胃がん | 出生時過体重 | 乳がん<閉経前> | |
アリウム野菜 | 胃がん | 高身長 | 膵臓がん、乳がん<閉経前>、卵巣がん | |
にんにく | 大腸がん | アルコール | 肝臓がん、大腸がん(女性) | |
食物繊維 | 塩蔵食品・塩分 | 胃がん | ||
牛乳 | 中国式塩蔵魚 | 鼻咽頭がん | ||
カルシウムのサプリメント | 飲料水中の砒素 | 皮膚がん | ||
食物に含まれる葉酸 | 膵臓がん | マテ茶 | 食道がん | |
食物に含まれるカロテノイド | 口腔・咽頭・喉頭がん、肺がん | 食事からのカルシウム | 前立腺がん | |
食物に含まれるβーカロテン | 食道がん | |||
食物に含まれるビタミンC | ||||
食物に含まれるリコピン | 前立腺がん | |||
食物に含まれるセレン | ||||
セレニウムのサプリメント |
項目 | 予防法 | 行動目標 |
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喫煙 | ⇒たばこは吸わない。 ⇒他人のたばこの煙をできるだけ避ける。 |
たばこを吸っている人は禁煙をしましょう。吸わない人も他人のたばこの煙をできるだけ避けましょう。 |
飲酒 | ⇒飲むなら、節度のある飲酒をする。 | 飲む場合は1日当たりアルコール量に換算して約23g程度まで(日本酒なら1合、ビールなら大瓶1本、焼酎や泡盛なら1合の2/3、ウイスキーやブランデーならダブル1杯、ワインならボトル1/3程度)。飲まない人、飲めない人は無理に飲まない。 |
食事 | ⇒偏らずバランスよくとる。 * 塩蔵食品、食塩の摂取は最小限にする。 * 野菜や果物不足にならない。 * 飲食物を熱い状態でとらない。 |
* 食塩は1日当たり男性9g、女性7.5g未満、特に、高塩分食品(例えば塩辛、練りうになど)は週に1回以内に控えましょう。 * 野菜・果物を1日400g(例えば野菜を小鉢で5皿、果物1皿くらい)はとりましょう。 * 飲食物を熱い状態でとらないようにしましょう。 |
身体活動 | ⇒日常生活を活動的に過ごす | 例えば、ほとんど座って仕事をしている人なら、ほぼ毎日合計60分程度の歩行などの適度な身体活動に加えて、週に1回程度は活発な運動(60分 程度の早歩きや30分程度のランニングなど)を加えましょう。 |
体形 | ⇒成人期での体重を適正な範囲に維持する(太り過ぎない、やせ過ぎない) | 中高年期男性のBMI(体重(kg)/身長(m)2)で21~27、中高年期女性では19~25の範囲内になるように体重を管理する。 |
感染 | ⇒肝炎ウイルス感染の有無を知り、感染している場合はその治療の措置をとる。 | 地域の保健所や医療機関で、1度は肝炎ウイルスの検査を受けましょう。 |
(作成:編集部)