がんの転移と再発予防について
がんの転移・再発を防ぐための基礎知識を学び、エビデンス(科学的根拠)に基づく
対処方法を知ることをサポートいたします。
がんの転移・再発を防ぐための基礎知識を学び、エビデンス(科学的根拠)に基づく
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がんの治療はそう簡単ではありません。たとえ手術でがんを取り除いても、すべてのがん細胞を完全に除去できたとは言い切れないからです。
がん細胞は増殖しながら周囲の組織を破壊し、浸み込むようにジワジワと広がっていきます。これを“浸潤(しんじゅん)”と言います。こうなると、がん細胞がどこまで広がっているのか境界がはっきり分かりません。
目に見えている範囲でがんを切除しても、微小のがん細胞が取り残されている可能性があるのです。
取り残された微小のがん細胞は、その場にとどまるものだけではありません。血管やリンパ管に入り込む場合もあります。血液中に流れ込んだがん細胞は体のあちこちに運ばれて行きます。そして、たどり着いた新たなすみかで増殖するのです。このように、がんが離れた場所に飛び火して広がることを“転移”と言います。
転移・再発が見つかった場合には、根治できる見通しは非常に低くなります。
それは、すでにがんが体のあちこちに転移している可能性が高いからです。再度手術で取り除いても、また新たな場所で見つかる可能性が高いので、手術で取りきることが難しくなります。
がんの治療効果を示すとき、よく“5年生存率”という言葉を聞くと思います。簡単に言えば“治療開始から5年後に生きている確率”となります。
では、この“5年”とは何を意味しているのでしょうか。それは、治療開始から5年経過しても転移・再発がなければ“治った”と考えていい、一つの基準となる期間です。つまり、5年生存率とは、そのがんが治る確率を意味しています。
なぜ5年が基準になっているのでしょうか。それは、がん細胞の増殖スピードが関係します。
体の中で発生した、目に見えない位小さながん細胞が1㎝の大きさになるのに10―15年かかります。しかし、そこから命を脅かす大きさになるのに、たった数年しかかかりません。がん細胞は、長く生き延びるほどタチが悪くなって、増殖スピードも速くなります。
ですから、治療でがん細胞が取り残されていたとしても、多くは2―3年、遅くとも5年以内に目に見える大きさまでに成長します。5年以上たっての転移・再発はごくまれのケースしかありません。
ただし、乳がんなどゆっくり進行するがんでは、10年生存率が基準になります。
がんの治療には多かれ少なかれ転移・再発の可能性がつきまといます。そのため、がんの種類やステージによっては“術後補助療法”が行われます。手術した後に取り残したがん細胞をやっつけるために、抗がん剤や放射線治療を一定期間行うのです。
でも、これらの治療にも弱点があります。がん細胞だけでなく、正常な細胞までやっつけてしまうため、副作用が出たり、免疫細胞の働きまで弱めてしまいます。
いずれにしても、がんになったら5年を一つの目安に、息の長い転移・再発予防が必要になってきます。病院の治療だけに頼るのも限界があります。普段の自力の免疫状態を高めておくことが大切になります。
“がんに勝つ!”免疫状態を保つには何が重要なのでしょうか。
体の中に潜んでいるがん細胞は、あらゆる手口を使って免疫細胞の攻撃から身を守ろうとします。
特に、がんになると増える“免疫抑制細胞”という用心棒がクセ者です。がん細胞が“サイトカイン”という情報伝達物質を分泌すると、大勢で集まってくるのです。そして、ボスのがん細胞を取り囲んで免疫細胞の攻撃を無力化してしまうのです。
転移・再発する前に隠れたがん細胞をやっつけるには、この免疫抑制細胞を少しでも減らすことがポイントになります。
(作成:編集部)
島根大学の原田 守教授によると、再発予防には免疫抑制細胞が働かない状況を維持することがよいのではないかとのこと。また、がんによって増殖した免疫抑制細胞を減少させる「免疫抑制の解除」の重要性について言及している。
半田醫院の半田えみ院長によると、モントリオールにある分子医学研究所のチームが行ったマウスの試験で、緑茶から分離されるEGCGが、肺がん、食道がん、胃がん、大腸がんなどにおける化学発がん性物質の抑制効果があったことなどについて言及している。
島根大学の原田 守教授によると、がんによる免疫抑制の進行を抑えることが、がんの転移・再発の制御、良好な予後の維持などの効果が期待できるとのこと。また免疫抑制の進行を抑える医薬品のイピリムマブ、健康食品のシイタケ菌糸体などの研究開発状況について言及している。
<Web公開記事>
がんの治療効果を高めるには、免疫抑制を解除し、低下した免疫力を回復させることが重要であるということが明らかになってから、この分野の研究は急速に進みつつある。第52回「日本癌治療学会」において、免疫抑制細胞の異常増殖を抑える方法の研究が、着々と進んでいることが言及されている。
<Web公開記事>
ハイパーサーミア(がん温熱療法)装置「サーモトロンRF – 8」、改良型電磁波加温装置「ASKI RF–8」を開発した、元株式会社山本ビニター専務取締役、現株式会社ピー・エイチ・ジェイ取締役最高技術部長・山本 五郎(いつお)氏にお話を伺いました。
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免疫力改善成分ごとに、ヒト臨床試験の論文について、紹介しています。
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がん患者さんのQOL(生活の質)をいかに維持していくか、小林製薬株式会社中央研究所でがんの免疫研究を続けている松井保公さんにお話を伺いました。
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テレビでおなじみの南雲吉則先生が提唱する「がんから救う命の食事」を中心に、がん患者さんとそのご家族にも役立つ、がん予防のための「食の在り方」について、話を伺った。