宮西ナオ子のがんの生存率・再発率に関連する食事・栄養や、
サプリメント成分の研究比較 第1回 乳がん
がんの告知を受けた後、日々の食事については何をどのように取り入れたらよいのか? 再発防止にはどうしたらよいのか。今回は信憑性のある論文をリサーチしました。具体的にいえば「発がんリスク」「がん患者の生存率、死亡率、再発率」「がん患者を対象としたサプリメント成分(アガリクス、フコイダン他)」に関する研究情報などです。
国立がん研究センター予防研究グループがHPで公開している多目的コホート研究、『がん患者のための栄養と運動のガイドライン(第4版)』米国対がん協会(ACS)、国際研究データベースPubmed などの「ヒト臨床試験」などから選択した結果をご紹介します。
多目的コホート研究(JPHC研究)とは
今回、ご紹介する「多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究」は、全国の11保健所と国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、大学、研究機関、医療機関などと共同研究として行われたものです。
この研究は、日本各地に住んでいる約10万人から、生活習慣についての情報を集め、長期にわたって疾病の発症に関する追跡を行い、どのような生活習慣が疾病の発症に関連しているのかを明らかにすることを目的として行われています。
乳がんのリスクが低下する食べ物
アブラナ科野菜
乳がん組織のホルモン受容体別で見ると、アブラナ科野菜の摂取量が増えるほど、エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体は、ともに陽性の乳がんのリスクを低める結果を出しています。アブラナ科の野菜は大根やブロッコリー、チンゲン菜、キャベツなど身近な野菜が多いです。
発酵大豆食品
がんの進展度別では、発酵大豆食品の摂取量が多いほど、進行乳がん(リンパ節転移や隣接・遠隔臓器への転移)の罹患リスクの低下と関連が見られました。しかし大豆食品を発酵の有無に分けて乳がんの罹患リスクとの関連を明らかにしたのは、本研究が初めてで、さらなる研究結果の蓄積が必要です。
食物繊維
総食物繊維摂取量(水溶性+不溶性食物繊維)が非常に多いと乳がんリスクが低下するという結果になっています。また、水溶性植物繊維の摂取量が多いほどホルモン受容体陰性乳がんのリスクが高くなりやすいとされています。ただしホルモン受容体別の結果は症例数が限られるため、解釈は慎重にすべきとあります。
みそ汁
乳がんは欧米で多くアジアでは少ないことがわかっています。大豆製品をバランスよく摂取する日本の伝統的な食習慣は乳がんになりにくいようだと考察されています。
イソフラボン
大豆食品が乳がんに予防的に働くメカニズムの一つとしてイソフラボンのもつエストロゲン作用が考えられます。
乳がんのリスクが高まる食べ物
n-6不飽和脂肪酸
乳がんリスクが高まる食品のなかの一つが、n-6不飽和脂肪酸です。
大豆油、コーン油、サフラワー油などに多く含まれています。n–6不飽和脂肪酸の摂取量が最も少ないグループに比べ、最も高いグループにおいては、ホルモン受容体陽性(エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体がともに陽性)乳がんのリスクが2.94倍高くなった研究結果があります。
欧米型の食事
欧米型の食事パターンは乳がんのリスクが32%上昇したという研究結果です。
乳がんのリスクと関連がなかった食べ物
アクリルアミド
アクリルアミドとは炭水化物を多く含む食品(イモ類など)を高温(120℃以上)で加熱調理することでできる物質です。国際がん研究機関から「人に対しておそらく発がん性
がある」とされています。この研究ではアクリルアミド摂取量と乳がん罹患との間に統計学的に有意な関連は見られませんでした。またアクリルアミドだけでなく、毒性の強いグリシドアミドなど、代謝物の影響も明らかにするために血液中のバイオマーカーを用いたさらなる検討を行う必要があります。
多目的コホート研究(JPHC study)による食材についてまとめてみました(表1~3)。
研究素材/テーマ | 研究内容 | 結果 |
アブラナ科野菜 | アンケート調査の結果に基づいた野菜と果物の摂取量を4つのグループに分け、乳がん発生のリスクを比較。 | 閉経後の女性ではアブラナ科野菜の摂取量が高いほど乳がんになりにくい。またアブラナ科野菜の摂取量が高いほどホルモン依存性の乳がんになりにくい可能性が見られた。 |
発酵大豆食品 | 総大豆食品(発酵・非発酵)・イソフラボンの摂取量が少ない人から人数が均等になるよう4 つのグループに分けて比較。 | 発酵大豆食品摂取量が多いグループでは進行乳がんの罹患リスクが低い。 |
食物繊維 | アンケート結果に基づいて総食物繊維摂取量、水溶性食物繊維量、不溶性食物繊維量、納豆および米の摂取量を4 つのグループに分け比較。 | 総食物繊維摂取量(水溶性食物繊維+不溶性食物繊維)が非常に多いと乳がんリスクが低下する。水溶性食物繊維の摂取量が多いほど、ホルモン受容体陰性乳がんのリスクが高くなりやすい(ホルモン受容体別の結果は症例数が限られる)。 |
みそ汁 | アンケートの「みそ汁」「大豆、豆腐、油揚、納豆」の項目を用いて大豆製品の摂取量と乳がん発生の関連を調査。 | 味噌汁の摂取が多いほど乳がんになりにくい傾向が見られた。 |
イソフラボン | アンケートの「みそ汁」「大豆、豆腐、油揚、納豆」の項目を用いて大豆製品の摂取量と乳がん発生の関連を調査。 | イソフラボンは乳がん発生減少率と関連している。 |
表1 乳がんのリスクが低下する食べ物
研究素材/テーマ | 研究内容 | 結果 |
n-6 不飽和脂肪酸 | 調査のアンケート結果に基づいた魚、n-3 およびn-6 不飽和脂肪酸の摂取量を4 つのグループに分けて比較。 | n-6 不飽和脂肪酸の摂取量が多いほどホルモン依存性の乳がんリスクが高くなりやすい。 |
欧米型の食事 | 調査のアンケート結果に基づき、134 品目の食品および飲料の摂取量を用いて「健康型」「欧米型」「伝統型」の3つの食事パターンを抽出し比較。 | 肉類・加工肉、パン、果物ジュース、コーヒー、ソフトドリンク、マヨネーズ、乳製品、魚介類などが関連した「欧米型」の食事パターンは、乳がんのリスクが32%上昇。 |
表2 乳がんのリスクが高まる食べ物
研究素材/テーマ | 研究内容 | 結果 |
アクリルアミド | 調査時のアンケートの回答から計算したアクリルアミド摂取量について、対象者を3 つのグループ(低、中、高)に分けて、その後の乳がん罹患を比較。 | 乳がんの種類によって細かく調べてみても、アクリルアミド摂取量と乳がん罹患との間に統計学的有意な関連は見られなかった。 |
表3 乳がんのリスクと関連がなかった食べ物
乳がん患者を対象とした食事に関する研究成果。Pubmed に見る研究報告
米国対がん協会(AmericanCancer Society:ACS)が公表した『がん患者のための栄養と運動のガイドライン』(第4版)をもとに乳がん患者を対象にした再発率・生存率・死亡率に影響を及ぼすものに関する研究成果をまとめてみました。
ただし、2011年以前に発表された論文であるため、該当の食べ物を対象に国際研究データベースPubmed に掲載されている論文の追加調査(2012年~2020年)を行いました。
論文が3件以上ある素材の場合は、エビデンスレベルの高い(システマティック/系統的レビュー※・メタアナリシス(分析)※、ランダム化(二重盲検)比較試験※など)最新論文に絞って掲載します(図1)。
図1 エビデンスレベル
また、「効果なし」「悪化」などネガティブな結果の論文は別途掲載します。
※システマティックレビュー:学術文献を系統的に検索・収集して、類似する内容の研究を一定の基準で選択・評価を行う研究のこと。
※メタアナリシス:統計的分析された複数の研究を収集し、いろいろな角度からそれらを統合したり比較したりする分析研究法。
※ランダム化比較試験:評価の偏りを避け、客観的に治療効果を評価することを目的とした研究試験法
欧米式の食事
すでに1977年に米国で行われたマクバガンレポートで、がん、心臓病、脳卒中などの生活習慣病は肉食中心の食生活がもたらした「食原病」であると報告されて久しいですが、今回の調査によってもリスクが高いことが証明されています。日々の食事に対してもう一度見直してみたいものです。
大豆
大豆たんぱく質の摂取は乳がんの死亡率を低下させることが多くの研究で明らかになっています。ただし、大豆イソフラボンの多量摂取はHハーツウER2陽性乳がん(がん細胞の表面にHER2と呼ばれるタンパク質が過剰発現しているタイプの乳がん)では再発リスクを高める研究も報告されています。
食事摂取量について
ほとんどの研究では食事摂取全般の改善(質の改善、健康的・慎重な食生活、炎症を起こしにくい食事)は、乳がんの特異的生存や再発について十分な証拠は得られていないといいます。とはいえ食事内容や摂取量については注意をするにこしたことはありません。
食事構成と主要食品群の影響
低脂肪食、良質の食事(※)、慎重な食事(※)は乳がんサバイバーには有益です。西洋式の食事は乳がんサバイバーには有害であることが示されていますので、慎重に選択したいものです。
※良質な食事:果物と野菜の摂取量が多いこと、全粒穀物、豆類、ナッツ類が含まれていること、肉(主に赤身と加工肉)の摂取量が少ないこと。
※慎重な食事:果物、野菜、マメ科植物、魚、家禽、全粒穀物の摂取量の増加。
果物や野菜の摂取量
メタアナリシスによる調査結果では、果物や野菜の摂取と乳がんの予後との間に有意な関連性は認められませんでした。とはいえ健康全般のために野菜や果物を摂取することは有効ではないかと考えられます。
食用亜麻仁
カナダの論文によると、食用亜麻仁は閉経後の乳がん患者さんにおいて、腫瘍増殖を抑制する可能性があるという結果がでています。
乳がん患者を対象とした食事に関する研究成果についてまとめてみました(表4)。
研究素材/テーマ | タイトル | 研究内容 | 結果 | 掲載誌/ 掲載年/ 国 |
欧米式の食事 | がん診断後の食物についての事実。前向きコホート研究の系統的レビュー | 【システマティックレビュー】 Pubmed およびWeb of Science のデータベースを用いて、開始から2019 年10 月30 日までの期間で合計29 件の前向き研究を分析した。 |
欧米式の食事のような有害な食事様式は避けるべきだが、食品カテゴリー(肉、乳製品)のどれ一つもがん患者の食事から排除すべきでないことを示唆した。 | Nutrients 誌 2020 年イタリア |
大豆、大豆イソフラボン | 大豆、大豆イソフラボン、タンパク質摂取と全原因死亡率、がん、心血管疾患との関連:前向きコホート研究の系統的レビューと用量反応メタ分析 | 【システマティックレビュー】 2018 年5 月以前に発表された関連論文を選定するために、オンラインデータベースを系統的に検索し、総サンプル数330,826 人からなる23 件の研究を分析した。 |
大豆と大豆イソフラボンは死亡リスクに好影響を及ぼす可能性がある。さらに、大豆タンパク質の摂取は乳がんの死亡リスクの低下と関連していた。 | J Acad Nutr Diet 誌 2019 年イラン |
食事摂取量 | 乳がん後の食事摂取全般と予後:系統的レビュー | 【システマティックレビュー】 2016 年6 月までに発表され、食事摂取全般(質、スコア、食事構成)と乳がん生存者における死亡率および/ または再発との関連を評価した7 件の研究を分析した。 |
ほとんどの研究において、食事摂取全般の改善(質の改善、健康的/慎重な食習慣、炎症を起こしにくい食事)は、乳がん特異的生存および疾患再発について、結論付けるのに十分な証拠は得られていない。 | Nutr Cancer 誌 2018 年 オーストラリア |
食事構成と主要食品群の影響 | がんサバイバーの死亡率と再発に及ぼす食事構成と主要食品群の影響:現在の疫学的文献の系統的レビュー | 【システマティックレビュー】 Pubmed、Embase、コクラン図書館を開始から2017 年4 月まで検索し、合計38 件の研究を分析した。 |
低脂肪食、良質の食事、慎重な食事は乳がんサバイバーに有益である一方、西洋式の食事は乳がんサバイバーには有害であることを示唆している。 | BMJ Open 誌 2018 年 イギリス |
果物や野菜の摂取量 | 果物や野菜の摂取量と乳がんの予後:前向きコホート研究のメタ分析 | 【システマティックレビュー】 開始から2016 年まで41,185 人の参加者からなる合計12 の研究を対象に分析した。 |
本メタ分析では、果物や野菜の摂取と乳がんの予後との間に有意な関連性は認められなかった。 | Br J Nutr 誌 2017 年 中国 |
食用亜麻仁 | 食用亜麻仁は閉経後乳がんの腫瘍バイオマーカーを変化させる | 【ランダム化比較試験】 閉経後の乳がん患者32 名を対象に、腫瘍生物学的マーカーおよび尿中リグナン排泄物に対する亜麻仁食(亜麻仁含有マフィン(n = 19)または対照(プラセボ)マフィン(n = 13))の効果を検討した。 |
食用亜麻仁は、乳がん患者における腫瘍増殖を抑制する可能性がある。 | Clin Cancer Res 誌 2005年 カナダ |
大豆イソフラボン | HER2 状態に関連した乳がん再発リスクに対する大豆摂取の影響の違い | 韓国人女性339 名を対象に、大豆製品およびイソフラボンの乳がん再発への影響を、上皮成長因子受容体–2(HER2)を含む受容体の状態別に比較した。 | 大豆イソフラボンの多量摂取はHER2 陽性の乳がん患者においてがん再発リスクを増加させた。 | Nutr Cancer 誌 2012年 韓国 |
表4 乳がん患者を対象とした食事に関する研究成果
乳がんに関するサプリメント成分の論文一覧
補完代替医療の利用実態調査(2005年)によると、がんの医療現場で44.6%のがん患者さんがいずれかの補完代替医療を用いており、そのうちの96.2%が健康食品やサプリメントを利用していると回答しています。
以下はサプリメント成分として活用されている食材の研究成果について、国際研究データベースPubmedや研究情報のみを掲載しているサイト(製品販売を含むサイトは除く)をもとに、乳がん患者さんを対象とした論文を調査しました。
シイタケ菌糸体
今回、ご紹介する論文の中には7件のシイタケ菌糸体の研究結果があります。QOL(生活の質)の改善、免疫の改善に関してすべての論文に有用であることが記載されています。また体力の回復や安全性についても記載されている論文もあり、シイタケ菌糸体の有用性を実感しました。
フコイダン
オーストラリアの研究ですが、ワカメフコイダンを用いてもレトロゾールあるいはタモキシフェンの定常状態血漿濃度に有意な変化は見られず、フコイダンの副作用も認められなかったということがわかっています。
プロポリス
アジュバント化学療法を受けている乳がん患者さんの口腔粘膜炎の予防に対してプロポリスを用いたところ、安全で忍容性が高く、有望な効果を示したといいます、口内炎には効果がありそうです。
霊芝
内分泌療法中の乳がん患者さんに対して不安感、抑うつ気分の軽減およびQOLの改善が報告されています。また免疫マーカーも有意に低下。
試験中に重大な副作用も見られなかったというわけで有意性を感じます。
乳がんに関するサプリメント成分の論文についてまとめてみました。(表5)
研究素材/テーマ | タイトル | 研究内容 | 結果 | 掲載誌/ 掲載年/ 国 |
シイタケ菌糸体 | 乳がん患者への補助化学療法との併用によるQOLおよび免疫機能の改善 | 【ランダム化比較試験】 47 名の乳がん患者をシイタケ菌糸体錠剤群とプラセボ錠剤群のいずれかに無作為に割り付けた。錠剤は、各療法の2クールにわたって毎日経口摂取された。 |
乳がん患者がアントラサイクリンベースの術後、補助化学療法とシイタケ菌糸体の経口摂取を併用すると患者のQOL、予備免疫機能の維持に有用であった。 | Mol Clin Oncol 誌 2017年 日本 |
シイタケ菌糸体 | がん患者におけるシイタケ菌糸体抽出物配合顆粒のQOL 改善作用:多施設共同研究 | さまざまな治療背景をもつがん患者68名を対象に、各治療と並行してシイタケ菌糸体を4週間連日摂取した。 | さまざまな治療背景をもつがん患者が各治療と並行してシイタケ菌糸体を摂取したところQOL の改善を示した。 | 日本補完代替医療学会誌 2017 年 日本 |
シイタケ菌糸体 | 乳がん術後ホルモン療法実施者の免疫力・QOL 回復 | 乳がん術後ホルモン療法実施中の患者(20 名)がホルモン療法と併用してシイタケ菌糸体を8週間摂取した。 | 乳がんの手術後のホルモン療法実施時にシイタケ菌糸体を摂取すると、免疫力とQOLを改善することを示した。 | Asian Pac J Cancer Prev 誌 2013 年 日本 |
シイタケ菌糸体 | 乳がん術後補助化学療法実施者の免疫力・QOL 回復 | リンパ節転移のある術後の乳癌患者10名に、術後補助化学療法と併用して、シイタケ菌糸体を3 週間摂取した。 | 補助化学療法を受ける乳がん患者がシイタケ菌糸体を併用して摂取すると、QOL および免疫機能が維持できた。 | Onco Targets T her 誌 2013 年 日本 |
シイタケ菌糸体 | 免疫療法施行患者における、免疫向上・免疫抑制軽減・QOLに対する評価 | がん免疫療法を実施中の患者10 名を対象に、4 週間は免疫細胞療法単独、次の4 週間はシイタケ菌糸体を併用した | 免疫細胞療法施行がん患者がシイタケ菌糸体を併用して摂取するとQOL および免疫能が改善する可能性がある。 | Gan To Kagaku Ryoho 誌 2012 年 日本 |
シイタケ菌糸体 | がん化学療法中の患者におけるシイタケ菌糸体エキス経口投与の有用性と安全性 | 乳がん・胃・大腸がんの術後補助化学療法、食道・大腸再発がんの化学療法中の患者7 名を対象に、治療1 コースは単独化学療法、2 コース目はシイタケ菌糸体を併用した。 | 化学療法を受けているがん患者に対して、シイタケ菌糸体を摂取するとQOL と免疫機能を改善することを示唆した | Am J Chin Med 誌 2011年 日本 |
シイタケ菌糸体 | 乳がん術後補助化学療法(FEC 療法)における免疫能および副作用の評価 | 術後補助化学療法を実施中の乳がん患者に、術後補助化学療法と併用してシイタケ菌糸体を3 週間摂取した。 | 乳がん手術後、化学療法中の患者がシイタケ菌糸体を摂取すると免疫力と体力が回復した。 | Gan To Kagaku Ryoho誌 2005年 日本 |
フコイダン | 乳がん患者におけるレトロゾールとタモキシフェンの薬物動態に対するワカメフコイダンの効果 | オーストラリアで悪性乳がん患者20例。オープンラベル非交差試験。フコイダン抽出物を3 週間(500㎎)経口服用した。 | レトロゾールあるいはタモキシフェンの定常状態血漿濃度に有意な変化は認められず、フコイダンの副作用も認められなかった。 | Integr Cancer Ther 誌 2018 年 オーストラリア |
プロポリス | アジュバント化学療法を受けている乳がん患者の口腔粘膜炎に対するプロポリスの予防効果 | 【ランダム化比較試験】 化学療法中の乳がん患者の口内炎に対する予防効果。 |
プロポリスと重炭酸ナトリウムは乳がん患者のOM(化学療法誘発性口腔粘膜炎)の予防に安全で忍容性が高く、有望な効果を示した。 | Eur J Cancer Care 誌 2017年 イタリア |
霊芝 | 内分泌療法を受けている乳がん患者に対して霊芝の胞子粉末によるがん関連疲労改善のパイロット臨床試験 | 内分泌療法を受けている乳がん患者に対してがん関連倦怠感に対する霊芝胞子粉の効果を調べた。 | 乳がん患者が霊芝を摂取したところ、疲労やQOL(生活の質)が改善する作用が観察された。 | Evid Based Complement Alternat Medi 誌 2012年 中国 |
表5 乳がんに関するサプリメント成分の論文
総評
乳がんに関しての食材とサプリメント成分について、さまざまな研究成果から探ってみたところ、食材では食物繊維や発酵食品などを摂取することの重要性を再確認できました。
また欧米式の食事ではなく、日本の伝統食が有意であることもさまざまな研究から実証されました。
そして、このような食材の選び方や食事内容は、乳がんの人のみではなく、一般的にがんを予防するため、広く一般の健康づくりのためにも必要な生活習慣に通じるようです。
一方、サプリメント成分ではシイタケ菌糸体の研究結果が多く、結果も良好なものが多かったので、積極的に摂取してもよいのではないかと感じました。
乳がんを対象とした食事に関するPubmed 収載論文の検索条件(2012年以降)
Breast cancer/patients or diagnosis/
死亡率or生存率or再発/該当の食べ物
乳がんを対象としたサプリメント成分に関するPubmed 収載論文の 検索条件(2005年以降)
agaricus blazei or lentinula edodes mycelia or Inonotus obliquus or Ganoderma lucidum or shark cartilage or Sparassis crispa or fucoidan or propolis/patient cancer
うち「乳がん」が含まれる論文を抽出
宮西ナオ子(みやにし・なおこ)
上智大学ポルトガル語学科卒業。生き方研究家・ライター・エッセイスト・女性能楽研究家・博士(総合社会文化)。著書に『朝2 時間早く起きれば人生が変わる』『眠る前の7 分間』『一週一菜の奇跡』『和ごころのある暮らし』など多数。2014 年「東久邇宮文化褒賞」受賞。
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